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国際日本学部

山脇ゼミが杉並区立新泉和泉小学校でやさしい日本語ワークショップを実施しました

2024年08月02日
明治大学 国際日本学部

国際日本学部山脇ゼミは2024年7月5日と8日の二日間にわたって、杉並区立新泉和泉小学校の4、5年生を対象に、「やさしい日本語ワークショップ」を実施しました。4年生は5クラス、5年生は4クラスあり、山脇ゼミから3年生11名と4年生7名が参加しました。

最初のアイスブレイクとして、班ごとに単語の書かれた紙を配り、一人を除いて共有して、知らない一人に一文ずつヒントを提示することで正解の単語を当てられたら成功という「単語当てゲーム」に挑戦し、終わった班から別の単語に挑戦する「わんこそば形式」で実施しました。班ごとに配置されたゼミ生がファシリテーターを務め、白熱したゲームが各班で繰り広げられ、終わった班の小学生たちが次々と高く手を伸ばす光景が印象的でした。想定していたより何倍も盛り上がり、やさしい日本語を使う上で大切な単語のやさしい言い換えを自然と体験してもらうことができました。

次のお話では、やさしい日本語について解説しました。まず、山脇ゼミが制作に全面協力したミュージックビデオ「やさしい世界」を流し、やさしい日本語に親しみを持ってもらいました。次に、やさしい日本語の基本である「ハサミの法則」や、日本に住む外国人の中での日本語を理解する人の割合のグラフを提示しながら、やさしい日本語の便利さや有用性を知ってもらいました。

そして、お話で学んでもらった「ハサミの法則」を駆使しながら、難しい日本語の文章をやさしい日本語に直すワークを実施しました。書き換え後の発表の時間では、各班の代表者が大きな声で発表し、クラスメイトがどんなことを考えて書き換えに臨んだのかを共有してもらいました。やさしい日本語の書き換えに決まった正解はなく、どうやったらわかりやすく伝わるかを考える思いやりこそが大事だというコメントを添えて、各回の授業を終了しました。

2021年度に始めた新泉和泉小学校でのワークショップですが、今回の目的はゲームやアクティビティを通して、やさしい日本語の存在をまず知ってもらい、楽しんでもらうことでした。ワークショップ終了後には、「やさしい日本語を使っていきたい」「単語当てゲームが楽しかったので、今度友達とやってみたい」という好印象を持ってもらうことができました。

授業の最後にいただいた各クラスの担任の先生のコメントで、「わかりやすく伝えるという思いやりは、外国人だけでなく、より小さな学年の小学生たちや同級生たちという身近な存在に対しても応用できる『言葉のユニバーサルデザイン』だね」というものがありました。山脇ゼミにとっても、また新たな視点を持ってやさしい日本語に向き合うきっかけになる、やりがいに溢れる良い機会になったと思います。

以下は本ワークショップを担当した学生たちの感想です。

「今回、私は司会を務めさせていただきました。当日はたくさんの小学生と交流することができ、休み時間には一緒に鬼ごっこをして、とても楽しい時間を過ごせたし、何より小学生のみんなからたくさんのエネルギーをもらいました。本番前はみんなの興味を惹くような司会を務めあげられるかどうか不安な面もありましたが、積極的に意見や感想を言ってくれたり、真剣な眼差しで話を聞いてくれたりする様子を見て、私自身も本当に楽しかったです。」(3年 猪飼千紗)

「今回のワークショップは、私にとってゼミに入って初めて担当した企画だったため、当日まで成功させることができるか心配でした。しかし、当日は参加してくれた小学生の素直で明るい反応に助けられ、ワークショップを成功させることができてとてもよかったです。私たちが考えていなかった意見を小学生から得ることができ、学びの多いワークショップでした。今回はやさしい日本語がテーマでしたが、今後は違うテーマでもワークショップをしていきたいです。」(3年 大西佐和)

「私は教職課程を履修しており、教育現場での多文化共生に関心が高かったため、このワークショップの開催への意欲が高かったです。私は司会でしたが、教育実習前のため子どもたちの前に出て授業をした経験に乏しく、至らぬ点が多かったと痛感しました。そんな中でもゼミのみんながフォローしてくれたためにワークショップを成功させることができ、皆の頼もしさを実感しました。また印象的だったのは、子どもたちから『自分が外国の人とやさしい日本語を使えそうだなと思った場面で使いたい』、『私が大学生になったら、やさしい日本語など多文化共生について色々なことを勉強したい』という感想をもらったことです。少しでも子どもたちの心に残る何かを残せたのならば良かったと思いました。」(3年 木村奏美)

「準備段階では、小学生には馴染みのないやさしい日本語に対して、どうすれば興味を持ってもらえるか検討を重ねました。その成果を、児童たちの反応から目に見える形で実感でき、嬉しく感じました。特に、『ハサミの法則』はキャッチ—で印象に残ったようで、休み時間に「ハサミの法則のお姉さんだ!」と声を掛けてもらえたことが印象に残っています。また、外国人だけでなく、高齢者や障がいのある方々にも「やさしい」ことを紹介した結果、「やさしい日本語」を使う「思いやり」があることを知ってもらえたと思います。今後も、ゼミの活動を通じて様々な世代の方々との接点を増やしながら、多文化共生について共に考えていけるような働きかけをしたいと思います。」(3年 馬場葵)

私にとって、本ワークショップは山脇ゼミに入室して初めて担当する大型イベントでした。昨年度とは全く異なるテーマで1からアクティビティを考えることに苦労したものの、得られたもの大きかったと感じています。たった10分のお昼休みでも、炎天下の中校庭で鬼ごっこや雲梯をする小学生のエネルギッシュさに負けないよう全力で挑みました。また、今回のワークショップを通じて、やさしい日本語のさらなる普及に力を入れていきたいと改めて感じることができました。普段の生活や職場などで「やさしい日本語」の存在を知らなくても、思いやりの心を持って無意識に取り組んでいる人は全国にいると思います。そのような人たちに、その行為には実は「やさしい日本語」という名前があって、あなた以外にも様々な人が携わっている素晴らしい取り組みだということを知ってもらうために、今後も精力的に活動を続けていきたいと感じました。
(国際日本学部3年 木内彬乃)