本学商学部の加藤拓巳ゼミの研究成果「消費者の受容性を高める商品値上げの設計-容量、価格、及び値上げの説明方法からの検証-」が第21回日本感性工学会春季大会で優秀発表賞を受賞しました。
論文:
金井飛奈・岩宮悠・佐藤賢介・鈴木大翔・宮本夏芽・加藤拓巳. (2026). 消費者の受容性を高める商品値上げの設計-容量,価格,及び値上げの説明方法からの検証-. 日本感性工学会大会予稿集, 1-3.
概要:
現在、物価高騰により日本国内では多くの企業が値段改定を余儀なくされている。しかし、日本市場は長らくデフレ経済であったために、日本人消費者が受容しやすい値上げの方法に関する知見の蓄積が乏しい。そこで、クッキーを対象としたStudy 1では、値上げの方法による購入意向の差異を検証した。図1に示すとおり、Group 1:容量20%減・値段据え置き、Group 2:容量据え置き・60円値上げ、Group 3:容量50%増・240円値上げ、Group 4:容量50%減・60円値下げ、という4つの値上げ方法を用意した。ランダム化比較試験の結果、図2に示すとおり、価格を引き下げて内容量を減少させるGroup 4が消費者の購入意向に有意に正の影響を与えることが明らかになった。この背景には、クッキーなどのお菓子が家族・友人での大容量のシェアよりも、勉強や仕事の合間に1人で食べるシーンが増えたという利用シーンが影響していると考えられる。つまり、値上げをする場合に、消費者のユースケースに即した容量を設計し、そこから値段の変動を検討することが有効である。グミを対象としたStudy 2では、値上げの理由による受容性の差異を検証した。図3に示すとおり、Group 1:値上げ説明なし、Group 2:原材料費高騰を理由とした値上げ、Group 3:人件費高騰を理由とした値上げ、という3つの値上げ理由を用意した。ランダム化比較試験の結果、図4に示すとおり、値上げの説明がないGroup 1が最も受容される結果となった。その理由としては、主に2つ挙げられる。1つ目は、詳細な説明に対して消費者は情報過負荷を引き起こし、当該商品に対する知覚価値が低減することである。2つ目は、過剰な説明は、背後にある意図を探ってしまうことで、不信感を抱きやすいという逆効果が想定される。値段改定と商品価値を両立させるには、消費者のユースケースや心理をもとにした設計が求められる。
図1. 値上げの方法の実験に用いた画像 (Study 1)
図2. 値上げの方法による購入意向の違い(Study 1)
図3. 値上げの理由の実験に用いた画像 (Study 2)
図4. 値上げの理由による値上げの受容割合の違い(Study 2)