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教員紹介

鶴来 航介(つるぎ こうすけ)

——自己紹介をお願いします

1991年、愛知県生まれです。考古学的には猿投の窯の麓あたりと言えば通りが良いです。もとの出自は加賀地域で、この難読苗字も地名としてよく知られているので、実は加賀にも同じくらい愛着が強いです。

——昔から考古学者になりたかったのですか?

私が考古学を志したのは、実は大学に進学して1年ほど経ってからのことです。子どもの頃は、絶妙なバランスで成り立つ自然界の美しさに心を奪われ、「万物の法則を知りたい!」などと大層な夢を抱いたものです。やがて人間の歴史に関心が広がり、自然の力学に振り回されながらも逞しく生きる人間の姿を捉えたいと思いはじめました。大学で人文系の様々な学問にふれるなかで、自分の関心や考え方に合致し、何より大いなる可能性を感じさせてくれる考古学へ、引き寄せられるように進んできました。

——現在どんな研究をしていますか?

初志貫徹で、自然環境と人間の関係について研究しています。弥生時代に農耕をはじめると、農具や水田関連施設などに多量の木材を必要とします。しかし、可耕地を求めて進出した低地は木材資源の乏しい環境です。そうした資源条件の障壁に直面したとき、地域社会は一致団結したのか、はたまた対立したのか—そんな資源利用と社会の成り立ちとの関係を明らかにすることが現在の関心事です。

——その研究の面白さは?

 資源を入手するための経済活動と社会の関係についての研究は、主に石器や金属器の分野で進んでいますが、木材は注目度の低かった未開拓の領域です。幾先年もの間埋もれていた歴史を、「自分が再発見できるかもしれない!」と思うのは何とも心地良いものです。遠い昔の出来事なので、自分の仮説を証明するのは容易ではありませんが、幸いにも論拠となる材料は豊富にあるので、議論を組み立てることさえも楽しみの一つです。

——受験生へのメッセージ

考古学は歴史学、ひいては人文学の一分野であり、究極的には人間とその社会の理解を目的としています。その第一歩は、身の回りの人々や社会を理解することから始まります。家族や友人など周囲と積極的にコミュニケーションをとり、地域や社会に関心をもつことが、歴史理解を深めるとともに、より豊かな生き方につながります。勉強が大事なのは言うまでもありませんが、今ある周囲とのつながりにも目を向けてみてください。
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