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9受験生のみなさんへ(Q&A)

Q&A

ーー日本史学専攻との違いは何ですか?

 考古学の世界では,過去の人々が残したモノ(遺物,遺構など)を手掛かりに,人類の歴史を解き明かしてゆきます。ですので,人類が誕生してから現代に至るまで,あらゆる時代が研究の対象になります。文字や図像などに記録された情報に興味があれば日本史学専攻,遺跡に残されたモノに興味があれば考古学専攻に進学するのが良いでしょう。

ーー考古学専攻への進学を目指していますが,どうしたら良いですか?

 考古学は机の上で完結する学問ではありません。様々な書籍に目を通して専門的な知識を蓄えることも必要ですが,同時にフィールドに飛び出し,実際の遺跡や遺物に慣れ親しむことが大切です。博物館などに足繁く通って,常日頃から資料に触れる機会を増やしておくことも良いでしょう。各地の博物館や埋蔵文化財センターなどでは,いろいろな講座やイヴェントが開催されていますので,ぜひ足を運んでみてください。
 なお,大学にはそれぞれのカラーがありますので,ホームページで比べたり,オープンキャンパスに足を運んだりして,あらかじめリサーチしておくことをお勧めします。

ーー実際に発掘調査に参加したり,出土した遺物に触れたりできますか?

 夏休み中に専任教員が発掘調査を実施しており,さらに一年を通して出土資料の整理・分析を行っています。1年次からこれらに積極的に参加することによって,考古学の基礎力を培ってほしいと思います。また,2年次に受講する「考古学研究法」の授業では,遺跡から出土した土器や石器などを手にとって,それらの観察の仕方を学ぶことになります。 
 なお,皆さんの地元である各地方自治体には,埋蔵文化財センターや教育委員会文化財保護課などのセクションがあり,ここで日々,発掘調査を実施しています。これらの機関にお願いすることで,夏休みや春休みなど長期に発掘調査に参加できる場合があります。これらの機会も活かしつつ,ぜひ調査の経験を積んでください。

ーー海外の考古学を学べますか?

 明治大学の考古学専攻では,日本考古学の専門家を中心にスタッフを構成しています。とはいえ,中国,朝鮮,オリエント,エジプトなど,各方面の専門家を招聘して講義を開講していますので,基本的な内容を学ぶことが可能です。
 日本考古学も海外考古学も方法論は同じです。明治大学考古学専攻で方法論をしっかり学び、その後に外国考古学専門の教員がいる大学の大学院に進学したり、海外に留学するという選択肢もあります。

ーー 恐竜(化石)のことを勉強することができますか?

 考古学が目指すのは,過去の人々が残した痕跡から,人類の歴史を読み解いてゆくことです。恐竜や化石の勉強を希望する場合は,考古学ではなく「古生物学」を専攻する必要があります。通常は地質学や地球科学などに組み込まれていますので,どの大学に専門の先生がいるのか,あらかじめ調べてみることをお勧めします。

ーー 人骨のことを勉強することができますか?

 本格的に人骨のことを勉強したい場合は,考古学ではなく「人類学」を専攻する必要があります。理学部や医学部への進学を視野に入れると良いでしょう。とはいえ,遺跡からは人骨が出土することもありますので,最低限の知識は欠かせません。明治大学の考古学専攻では人類学の専門家をお招きして授業を開講していますので,基本的な知識を学ぶことは可能です。なかには人骨への関心が高まって,人類学の研究者になった先輩もいるくらいです。

ーー 城郭や刀剣を勉強することができますか?

 最近の考古学はますます守備範囲を広げており,文字のある時代を広く扱うようになっています。当然ながら,城郭や刀剣も考古学の立派な研究対象になり得ます。ただし,愛好家的な興味関心とは少々観点が違いますので,そこに注意が必要です。中近世考古学のジャンルとして研究が進められていますので、そうした専門書にあらかじめ目を通してみてはいかがでしょうか。 明治大学には中・近世考古学の専門家はいませんが、兼任講師による講座を開講していますので、学ぶことは可能です。また中近世考古学であっても方法論は原始古代と同じです。明治大学考古学専攻で方法論をしっかり学び、その後に専門の教員がいる大学の大学院に進学するという選択肢も考えられます。

ーー 卒業生の進路を教えてください

 考古学専攻ではこれまで2500人以上の卒業生を輩出してきました。様々な分野で卒業生が活躍しています。一般企業や官公庁などに就職するほか,考古学専攻で学んだ知識や技術を活かして,マスコミや教育関係の仕事に就く人が目立っています。こうした卒業生のなかには,就職してからも考古学を学び続けている卒業生が少なくありません。
 また,各地の教育委員会や博物館,埋蔵文化財センターなどに就職し,文化財の保護や活用に貢献している卒業生が多いのも大きな特徴です。大学や研究所などに就職し,研究の最先端で活躍している卒業生も数多くいます。ぜひ,「全国で活躍する卒業生」(詳細はこちら)をご覧になってください。考古学に携わる仕事を目指すならば,明治大学で学んで損はないでしょう。その場合,大学院に進学し,いっそう専門性を高めることをお勧めします。

ーー 考古学を活かせる仕事はありますか?

 考古学専攻で学んだ知識や経験は,様々な方面に活かすことが可能です。たとえば,以下の一覧をご覧になってください。都道府県や市町村の文化財専門職員をはじめとして,数多くの選択肢があることがお分かりいただけることでしょう。もちろん,これは一例に過ぎません。ぜひ大学で考古学を学んで,それを社会に活かしてみませんか。

ーー 地方自治体の文化財専門職員になりたいのですが,どうしたら良いですか?

 まず,1年生のうちから発掘調査・資料整理に長く参加し,発掘調査の実際に触れ,フィールドの実務に慣れておくと良いでしょう。大学では系統的に考古学の方法や理論,関連科学を学ぶとともに,定期的に学会に参加し,また先輩と交流するなどして考古学的な思考を身につけます。
 卒業年次になったら地方自治体の専門職公募などを定期的にチェックし,試験を受けます。公募では大学院までの知識を求められることがありますが,学部卒であっても実務的力量を備えていれば採用される場合もあります。

ーー 博物館学芸員になりたいのですが,どうしたら良いですか?

 博物館学芸員になるためには,卒業必要単位のほかに学芸員資格に必要な単位を取得する必要があります。明治大学には博物館学芸員課程がありますので,そこで履修の相談をしてください。1年生から計画的に進めることが必要です。資格を取得できたら(取得見込みとなったら),採用の公募があるかチェックし,試験を受けます。
 学芸員の専門領域は幅広いため,就職は狭き門ですが,とくに地方博物館では考古学専攻の学芸員が多く求められる傾向にあります。