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国際日本学研究科

特別講義「伊東敦『苦闘15年。集英社担当者が語るマンガ海賊版の歴史と対策』」を開催

2026年01月28日
明治大学

講演を行った伊東敦氏講演を行った伊東敦氏

正規版サイトには、伊東さんが事務局長を務める『ABJ』のマークがついている正規版サイトには、伊東さんが事務局長を務める『ABJ』のマークがついている

多くの参加者が駆け付けました多くの参加者が駆け付けました

貴重な資料を基に講演していただきました貴重な資料を基に講演していただきました

 2026年1月16日、明治大学大学院国際日本学研究科は、明治大学中野キャンパスで、集英社で15年間、国内外の海賊版対策に携わってきた伊東敦さんによる特別講義「苦闘15年。集英社担当者が語るマンガ海賊版の歴史と対策」を開催しました。

 現在、日本のマンガが世界中で人気であることは知られていますが、同時に深刻なのが海賊版の問題です。世界で人気の「ジャンプ」コンテンツはそのせめぎあいの最前線。この15年間、海賊版対策の専門家として次々と現れる海賊版コンテンツと闘い続けてきた伊東さんのお話は、海賊版の歴史、具体的な現状、海賊版対策の最前線に至るまでを詳しく語るたいへん聞きごたえのあるもので、著作権の研究者を多く含む聴衆は熱心に聞き入っていました。

 意外だったのは、現在、最も海賊版の被害が大きい言語は「英語」。次が「日本語」だということです。お話を聞くまでは、日本人は他国に比べ著作権意識が高いという印象だったのですが、海賊版サイトの数も訪問者数も、侵害率No.1の英語圏の海賊版サイトについで、いずれも日本語版が大きい。英語と違って日本語で読む読者はほぼ日本人だと思われますから、世界で最も日本マンガの権利侵害をしているのは、日本人だ、ということになります。このような状況になったのは「漫画村」事件以来のことで、「漫画村がパンドラの箱を開いた」と伊東さんはおっしゃっていました。「漫画村」の運営者は逮捕されたものの、あの事件で、マンガの海賊版は儲かる、ということが知られてしまい、海外から日本に向けて日本語でマンガを読ませる海賊版サイトが急増したようです。ちなみに、海賊版サイトの滞在時間は、第1位がインドネシア、2位が日本、3位が米国でした。海賊版ただ読みマンガサイトによる被害額は、世界では8.5兆円にのぼるといいます。

 こうした海賊版サイトに対して、集英社や他の出版社、伊東さんが事務局長を務めるABJ(Authorized Books of Japan)は、さまざまな取り組みをしてきました。年に数百万通にも及ぶ取下げ要求の書類を送ったり、海賊版サーバー特定の努力をしたり、警察との連携、読者への啓発……。

そして、伊東さんの特別講義が終わった週明け、講義の中で筆頭侵害サイトとして名前が挙げられていた海賊版マンガプラットフォームBATO.TOが、法的訴訟を受けて閉鎖、というニュースが流れてきました。伊東さん、Good Job!
みなさんも作家や出版社、ひいてはこれからマンガ家になろうという人の未来を潰す海賊版に加担しないで、正規版のマンガを読んで応援してください。

明治大学大学院