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情報コミュニケーション
学部

清原聖子准教授が「インターネット選挙運動に関する国際シンポジウム」を開催しました

2018年03月16日
明治大学

会場入り口の様子会場入り口の様子

受付にて配布された資料受付にて配布された資料

清原准教授による冒頭挨拶清原准教授による冒頭挨拶

ダイアナ・オーエン准教授による基調講演ダイアナ・オーエン准教授による基調講演

活発な議論が交わされたパネル討論活発な議論が交わされたパネル討論

2018年3月10日、明治大学情報コミュニケーション学部清原研究室主催、情報通信学会インターネット政治研究会共催により、駿河台キャンパス・グローバルフロントにて、「インターネット選挙運動に関する国際シンポジウム—日米韓台におけるデジタル民主主義」が開催されました。
今回のシンポジウムでは、昨年Palgrave Macmillanから公刊されたInternet Election Campaigns in the United States, Japan, South Korea, and Taiwan(edited by Shoko Kiyohara, Kazuhiro Maeshima, Diana Owen)の執筆者らが中心となって研究発表を行いました。

初めに、主催者側から、冒頭挨拶として「2008年のアメリカ大統領選を境に、アメリカではインターネットやソーシャルメディアを使った選挙運動はますます活発になっている。・・・国の制度やメディア環境によってもインターネット選挙運動の発展状況は異なるが、東アジアとアメリカとの比較研究は少ない」といった説明を行いました。

次に、ジョージタウン大学のダイアナ・オーエン准教授が「トランプ時代のデジタル革命とアメリカ政治」と題して基調講演を行いました。そして、「トランプは大衆に訴えるために、ソーシャルメディアのポピュリスト的傾向を悪用してきた。・・・政治的分極化はさらに大きくなっている。デジタルメディアとトランプ時代の政治の融合により、不安定な状況が生み出された」と指摘しました。

その後、7つのプレゼンテーションが行われました。まず、上智大学の前嶋和弘教授は、各国の選挙運動がアメリカと同じような特徴をもつようになっていくという「選挙のアメリカ化」の概念について説明しました。続いて、主催者からは、日米韓台におけるインターネット選挙運動の展開の差異として考えられる制度的な要因について、また、関西大学の小笠原盛浩准教授からは、日米韓台のメディア環境を比較することで、日本におけるインターネット選挙運動が相対的に活発になりにくい点が指摘されました。

コーヒーブレイクを挟み、韓国、台湾、日本のインターネット選挙運動に関する研究発表が続きました。東京都市大学の李洪千准教授は、韓国の2014年の地方選挙に際して、多くの候補者がスマートフォンのアプリを活用した点を説明しました。新潟県立大学の陳栢宇専任講師は、2014年台北市長選挙から2016年台湾総統選までカバーして、台湾ではインターネット選挙運動が市民運動によって支えられていると述べました。そして、香港城市大学の小林哲郎准教授は、日本の初めての「ネット選挙」であった2013年参議院選挙について統計的因果推論によって、選挙期間中のネット利用が投票率や政治的有効性感覚の上昇に結び付いた可能性を示しました。最後に、清原・小笠原・前嶋の3人によるプレゼンテーションでは、2017年衆議院総選挙について、オンライン調査を行った結果の一部について紹介されました。

シンポジウム終盤では、本学政治経済学部の竹下俊郎教授を討論者に迎え、「日米韓台におけるデジタル民主主義」について討論を行いました。討論者からは、「選挙のアメリカ化の副産物として、ポピュリズムが増大しているのか」、「(国別に)マスメディアとニューメディアがどのような関係にあるのか」などの質問がされました。また、当日は大学関係者だけでなくメディアに関わる実務家の方々の参加も多く、フロアからは、日本のメディアを他国と比較した点について、大変熱心な質問とコメントが寄せられ、パネリストと活発な議論ができました。