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教員と学生による座談会

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現代に必要なのは共助の概念を育むこと

——コロナ禍だからこそ見えてきた現代社会 における課題やこれからの大学に必要なことなど、感じていることがあれば教えてください。

2019年度ゼミ合宿で宮城県石巻市の状況を学ぶ学生

小林 私の専門は自然災害なので、その現場とコロナのつながりという点でお話ししようと思います。2021年の3月で東日本大震災から10年を迎えますが、コロナ禍でまったく話題に上らないのが現状です。本来はこの震災は日本にとって未曾有の大災害で、2021年は10年の節目となる機会でした。10年目の節目だから被災者の方々の暮らしの何が変わるのかというと、そう変わらないのですが、東北をはじめとした被災地はこの10年でさまざまな変化を遂げてきています。それは目に見えないものであることも多く、現地を初めてみた方からすれば、「まだここまでしか復興していないのか」と思われるかもしれません。しかし、それは復興というものへ向き合い続けてきた人々には、そこまでの悪戦苦闘の過程があったうえでの、「ようやくここまで辿り着けた」と呼べるような変化なのです。その認識の差はどんどん開き、コロナを通じてさらに拡大しており、非常に大きな問題だと感じています。見えないところで苦しんでいる人がいるというのは国内外問わず注視すべき点ではないでしょうか。私の扱っている研究対象は自然災害であり、コロナ禍に注力しているわけではありませんが、共通して語られるキーワードもあります。それは「信頼」です。災害を乗り越えるには政府と国民、国民同士など、他者との信頼関係が不可欠ですが、日本ではあまり成立していません。一方、ニュージーランドや台湾、中国などいわゆるコロナ対策に成功している国々は、この信頼関係の醸成に成功しています。日本は災害大国ではありますが、国任せにする風潮があり、地域でも町内会のような制度はどんどん崩れ、再構築することも難しくなっています。日本には公と私をつなぐ「共」がありません。「ともに」という概念が大きく欠けているのです。そこに気づかなければ格差は拡大する一方です。ワクチンがどうという話ではなく、「ともに」生きるという社会基盤ができているかどうかが重要なのだと思います。

髙橋 コミュニティレベルでの共助の問題もとても重要ですが、このコロナ禍においては国際社会レベルでの共助について特に考えなければならないと思います。コロナ禍で顕在化している問題が、世界の保健医療に関する資源配分の偏りです。その一例として、新型コロナのワクチンを巡る利権争いが挙げられます。保険医療の資源が発展途上国に再分配されて治るはずの病気もあるのに、先進国がその資源を掌握してしまうことで、救えるものも救えない状況になっています。だからこそ、国際的なレベルでも私たちは共助の考え方を学ぶことが必要です。そのためにはコミュニティレベルで共助を育む必要があります。情コミは両方のレベルから学ぶことができる学部だと思っています。

大黒 もうひとつ付け加えたいのが、高橋先生が今話されたのはコミュニティとナショナリズム、ナショナリティという問題が関わってくると思っています。私の専門はメディア論ですが、本来、町内会や学校の友人関係が基本的なコミュニティであるはずが、インターネットが普及することでそうしたコミュニティよりも国際的なコミュニティの方が身近になってきています。たとえばツイートの悪口が国際問題に発展している点などは、これまでになかったことです。新しいコミュニティの概念をどう分析していくのか、それは情コミにおけるひとつの課題ではないでしょうか。

「ガクの情コミバーチャル研究交流祭」実施案内

須田 「共」という話でいえば、ゼミ内で完結していたことをゼミ間のものとして共有していきたいと考えています。この秋学期には,「ガクの情コミバーチャル研究交流祭」という,オンライン上でのゼミの研究報告会を開催し、ゼミ同士のセッションに取り組みました。これからも,ゼミを越えたかたちで情コミの知を共有できるスペースを考えていきたいですね。

島田 ゼミ生たちが、自分とは全く違う分野を学んでいる学生たちに感銘を受けたのは良い経験だったのではと思います。情コミの「共助」につながることなのでこれからも続けていきたいです。また、学部のアピールポイントにもなるのではないかと思っています。
  「ガクの情コミバーチャル研究交流祭」 ▷実施報告書