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国際日本学部

国際日本学部山脇ゼミが中野区職員を対象としたやさしい日本語ワークショップを担当しました

2023年08月17日
明治大学 国際日本学部

山脇ゼミは2023年7月14日に中野区職員を対象とした多文化共生研修の一環として、やさしい日本語ワークショップを担当しました。当日は、山脇啓造教授から多文化共生についての講義をいただいた後、ゼミ生が「やさしい日本語コミュニケーション(話し言葉編)」のワークショップを行いました。計27名の職員の方にご参加いただきました。

「多文化共生のまちづくり」を研究テーマとする山脇ゼミでは、2018年度からやさしい日本語の普及活動をしています。やさしい日本語とは、誰にとってもわかりやすいように、尊敬語や謙譲語、熟語を避けて簡単に表記したり、話したりする日本語のことです。山脇ゼミは、豊島区で2020年12月と2021年12月に、中野区では2021年度に2回(8月と1月)、2022年度にも2回(7月と10月)、やさしい日本語のワークショップを担当しています。今回のワークショップでも、出入国在留管理庁と文化庁が策定した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月)を参考に、ゼミ生が作成した問題を使用し、難しい日本語を簡単に言い換えるワークを行いました。

今回は、昨年7月に行ったワークショップの内容に加え、外国人住民に関わるコミュニケーション上の課題である「第三者返答」を紹介しました。第三者返答とは、例えば、外国人住民が日本人の友人と区役所の手続きに行った際、職員が外国人住民から質問されたにもかかわらず、「外国人は日本語を話せなさそう」と思い込むことで、その人を無視した形で日本人(第三者)に返答してしまうことを指します。これをゼミ生が実演し、第三者返答によって外国人住民が不安や疎外感を抱いてしまうという問題を伝えました。

ワークショップの構成は、①導入(やさしい日本語と第三者返答の説明)、②グループに分かれての実践練習、③まとめの3部構成です。導入では、やさしい日本語を使うときのマインドセットやテクニックと共に、第三者返答を引き起こさないために効果的なコミュニケーションの1つがやさしい日本語であることを伝えました。また実践練習では、身近な場面(ゴミ出しや災害対応)や、実際の区役所の業務内容に近い場面(国民健康保険の申請)を想定し、外国人住民役と日本人職員役に分かれて実践練習を行いました。

研修後に行ったアンケートでは、「グループワークは分かりやすかったですか」という問いに対し、74%の方から「大変わかりやすかった」、26%の方から「分かりやすかった」とご回答いただきました。「実際にやさしい日本語を使って実践できて、より身につきました」など実践的な内容を評価いただくご意見が多く、窓口業務の一助になれたのではないかと思います。また、ゼミ生から「とても活発なワークショップになり、ファシリテーションをしていても、とても楽しかったです」という感想が出るなど、ゼミ生にとってもやりがいのある研修になりました。

これまでも山脇ゼミは、中野区の商店街や株式会社丸井グループ、学校の教職員や小中高生などに向けて「やさしい日本語」のワークショップを開催してきており、自治体職員対象のワークショップは2020年度の豊島区研修から継続して担当させていただいています。2009年度から自治体と連携した活動を積み重ねてきた山脇ゼミが、自治体の信頼を得て、多文化共生研修を担当させていただいていることは意義深いものだと感じています。
今回のワークショップでは、新たに取り入れた第三者返答のロールプレイにおいて課題が残りましたが、今後も改善を重ね、誰もが暮らしやすい「多文化共生」のまちづくりに貢献していければと思います。
(国際日本学部4年 岡野瑠璃)