Go Forward

ドイツ語を学べば商学がよくわかる

名誉教授 鈴木 義夫
 商学部の創立当時(1904年)には、商学の学問的価値に疑念を抱き、それを大学で教授することには否定的な態度が大学関係者にみられました。こうしたことは、なにも日本に限ったことではありませんでした。ドイツでも、同様な状況がみられました。とりわけ、商学は倫理的にも問題のある「金儲け術」ではないかとする非難が経済学者の側からも出され、その科学性(学問性)をめぐって論争が引き起こされました。しかし、商行為には、利益だけが指導動機となるべきではなく、生産者と消費者との間を最少のコストで仲介するという経済的原理が働いており、それを研究する商学は特定の企業家の利益を代表するものではないとする反論がなされ、さらに、それは社会の福祉の増進をはかるという側面をも備えていることが認識されることによって、ドイツでは、その科学性をめぐる議論は収束します。 こうしたドイツでの商学に関する研究成果は、わが商学部の教育・研究のあり方にも大きな影響を与えております。ゲーテは、その『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』(1796年)において、複式簿記を人間の精神が生んだ最高の発明の一つであるといっております。

 ドイツ語を学ぶということは、商学に関する専門知識だけでなく、幅広い教養を身につけることにもつながります。これこそが、商学部教育の目標であり、社会的にも高い評価を受けている所以であると考えております。 多くの学生諸君がドイツ語を学び商学をより深く理解してほしい。