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ゲストスピーカーによる特別授業(11月18日実施)

1.実施日    
2021年11月18日(木)17:10~18:50

2.実施場所
和泉キャンパス 第一校舎006教室

3.科目名
総合学際演習(2年)

4.テーマ
次世代シーケンサー

5.ゲストスピーカー
塚原正俊氏(バイオジェットCEO)

6.実施内容
 次世代シーケンサーは最先端のDNA塩基配列の解読機である。これは2003年まで十数年もかかったヒトゲノムプロジェクトにおける1人分の約30億塩基対のゲノムの解読を、3日以内に可能にするというポテンシャルがある。
 塚原氏は、ヒトゲノムプロジェクトにおいて活躍した従来型シーケンサー(キャピラリー型シーケンサー)を自転車とすれば、次世代シーケンサーはロケットであると例えられた。近所に出かけるのにロケットが不便であるのは当たり前であるように、今後も短いDNAの塩基配列を解読するのであれば、キャピラリー型シーケンサーを使うなど、用途に応じて使い分けされるだろうということであった。
 次世代シーケンサーの応用については、さまざまな例を紹介された。なかでも最近、特に活躍したのは、2019年末からの新型コロナウイルス感染症への対策においてであるということも、多数のスライドを使い、データを交えて具体的に話された。新型コロナウイルスの塩基配列は29,203文字であるが、その変異株の検出から、人流に乗ったウイルスの拡散の流れ、mRNAを活用したワクチン開発までも、次世代シーケンサーが無ければこれほど容易にはできなかったであろうと指摘された。現在まで、世界中で新型コロナウイルス感染症で多数の人が亡くなったが、次世代シーケンサーが無ければ、もっと多くの被害者が出たはずだと強調された。
 受講生には、今回の授業の予習として、前の週にキャピラリー型シーケンサーのビデオなどを配信しておいたので、途中で多くの質問が出たことが大成功であった。これは塚原氏が望んでいたことでもあり、教育効果が高い双方向型の授業となり、担当教員としても参考になった。
 

浅賀 宏昭 (科目担当教員)