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ゲストスピーカーによる特別授業(12月23日実施)

1.実施日    
2021年12月23日(木)13:30~15:10

2.実施場所
駿河台キャンパス リバティタワー1083教室からオンライン授業

3.科目名
経営分析論B

4.テーマ
経営分析と労働者

5.ゲストスピーカー
北 健一 氏(ジャーナリスト)

6.実施内容
 経営分析論は、財務諸表の分析方法について学びます。個々の企業の経営分析から始まり、『法人企業統計』の分析、法人税課税についての分析などにも、経営分析は活用できます。特別講義では、労働者という立場から経営分析を学ぶ意義があるということを、企業経営や労働問題に詳しい北健一さんより、お話いただきました。
 今回は、日本航空の元客室乗務員で、2010年の整理解雇事件の原告団長である内田妙子さんにご参加いただき、働く者の生活、権利、雇用をどのように守っていくのかについて、北さんからインタビューをしてもらいました。
 2010年の整理解雇事件については、前回の授業で、経営側の都合で行われ労働者には責任がない整理解雇は4つ要件を満たさなければならない、要件の一つが「整理解雇の必要性」で、この判断にとって経営分析が中心となるということを事前学習してありました。北さんからは、2010年当時、再建計画は超過達成し、巨額の利益を計上していたことを国土交通省の資料を参照しながら示されました。整理解雇は無効であるとして提訴された裁判において、経営者として著名な稲盛和夫氏(当時、日本航空社長)が、「整理解雇は必要がない」と証言していたことなどが紹介されました。
 内田さんからは、残念ながら裁判は敗訴したものの、その後も会社に謝罪や職場復帰を求めて取り組み、その力がコロナ禍による経営困難のもとでも解雇者をださないことにつながっていること、今年になって複数の職場復帰者が認められてきたこと、また労働組合で長年、女性差別解消に取り組み、女性が結婚、妊娠、子育てのできる職場になるように、労働条件を改善してきたことが紹介されました。
 学生からは、職場で働き続けるためにはなにが必要か、裁判が敗訴してもなぜ闘いを続けることができるのか、などの質問がありました。感想のアンケートでは、「経営分析では、人件費はコストとして扱われ、低いほど良いと考えられがちであるが、そういう考えは良くない。」「就職を前にして、現場で起きていることを知ることができて、貴重であった。」など声が寄せられました。
 

野中 郁江(科目担当教員)