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ゲストスピーカーによる特別授業(7月11日実施)

実施日:2014年7月11日(金)
実施場所:駿河台キャンパス リバティタワー1012教室
科目名:観光事業論A
ゲストスピーカー:岡泉 幹雄(日本ホテル(株) 東京ステーションホテル 総支配人室 総務人事 シニアマネージャー)

実施内容:
 「東京ステーションホテルの歴史的変遷に見る観光立国を意識した次世代型ホテル運営マネジメント」と題して,東京ステーションホテル総支配人室総務人事シニアマネージャーの岡泉幹雄様がご講義をなされた。
 東京ステーションホテルは,東京駅と一体化されたホテルであり,東京駅開業(1914年)の翌年に開業した。したがって,2015年が開業100周年にあたる。日本の威信を象徴性にまで高めるため,東京駅ならびに東京ステーションホテルは,ルネッサンス式の建築様式で建造された。当初,その運営は精養軒に委託されていた。だが,業績の悪化などにより,鉄道省主導で経営再建され,同時に東京鉄道ホテルに名称変更をした時期も戦前にあった。第2次世界大戦後,東京ステーションホテルと改称され,現在に至る。
 1987年の国鉄分割民営化に伴ない,JR東日本が同ホテルの筆頭株主となる。2003年に,東京駅丸の内駅舎として国の重要文化財に指定された。駅舎の保存・復元工事による休館を経て,2012年10月に東京ステーションホテルは再開業している。再開業を契機として,過去100年だけでなく,これからの100年も存在・運営し続けていくホテルをコンセプトに,皆から愛されるホテルという理念をスタッフ間で共有している。そのためには人々との共感が必須としている。すなわち,駅舎と一体化したホテルの建造物だけでなく,スタッフの果たす役割が不可欠と考えている。ただし,同じスタッフは100年間勤務できない。その代わりに,世代の異なるスタッフ間でそうした共感というスピリットが継続できるようにしている。
 まずは顧客1人ずつにスタッフが寄り添うことで共感は得られると考えている。そうすれば,未来の宿泊客へと,いずれ共感が構築されていくからである。次世代型ホテル運営マネジメントの要は,ホテルで働く人々の精神性に依拠する部分が大きい。それゆえ,いつ表舞台に出ても自分の力量が発揮できるように,ホテル従事者は常に準備をし続けることが求められる。次世代型ホテル運営マネジメントとは,歴史性を重んじながらも,顧客志向を追求していく手法といえよう。


                                                         藤井 秀登(科目担当教員)