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ゲストスピーカーによる特別授業(11月17日実施)

実施日: 2017年11月17日(金)15:20~17:00
実施場所: 駿河台キャンパス 1022教室
科目名: 会計情報論B
テーマ: ジョイントベンチャー(JV)の実務のポイントについて-ベンチャー企業と大企業とのJVを中心に
ゲストスピーカー: 垂水 謙児 氏 ((株)トランジットジェネラルオフィス取締役副社長)
実施内容:
 明治大学商学部OBで、会計専攻のゼミ出身の垂水謙児氏よりご講演頂いた。現在、垂水氏は、話題のレストランを多数てがけるトランジットジェネラルオフィスの取締役副社長・CFO(最高財務責任者)をつとめている。大学卒業後の仕事を通して、キャリアの重ね方や転身の際のエピソードを交えながら、他企業とのジョイントベンチャー(JV)を組む際の理論や実務についてお話しいただいた。ちょうど、授業で連結会計を講義しているので、実践面から、学生の関心が高かった。
 1.大学卒業後に勤務したのは、証券会社の子会社であるベンチャーキャピタル(VC)であった。何社にも投資し、上場した会社もあるが、倒産処理も経験した。倒産処理業務は、その後の産業再生と事業再生の仕事に役立った。
 2.ベンチャーキャピタルからITベンチャー企業へ転職したが、ITバブルの時であった。当時の会計上問題になったシステム売買について解説があり、会計監査の厳しさなどが紹介された。
 3.ITバブル終焉後は、不良債権をめぐるマーケットが拡大し、不動産流動化に関するベンチャー企業が設立され、企業再生に関するマーケットも拡大した。これは不動産と金融の融合で、現在のFintecの原型といえるものである。このころ、不動産ベンチャー企業に転職し、企業再生ファンドに出向した。同時に、企業再生のコンサルティング会社を設立し、地方リゾートホテルの再生を手がけた。
 4.産業再生にかかわる業務をきっかけとして、スタートアップ企業への投資会社を設立した(VCとPEの両方を兼ねたもの)。
 5.現在のレストラン業も、オーナーの民事再生法申請がきっかけで、サニーサイドアップとJVを設立したものである。
 6.JVを設立する場合、問題となるのは、自社が過半を出資して主導権を握るか、少額出資にととめるかの選択である。子会社にするか否か、関連会社として持分法にするかの選択である。持分法にすると、JVの債務を保証しない場合、出資額を上限として損失を限定できる。ここで、100%子会社か51%子会社か、49%関連会社(持分法適用)でも、連結上の利益の内訳が異なるので難しい。
 最後に、聴衆に向けて「変化できる人間に!」というメッセージがあった。
 

名越 洋子(科目担当教員)