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ゲストスピーカーによる特別授業(12月5日実施)

実施日: 2017年12月5日(火)9:00~10:40
実施場所: 和泉キャンパス 6番教室
科目名: 貿易総論B
テーマ: 公平な貿易を通じて、世界をより良い方向へ-日本でも広がり始めた「フェアトレード」-
ゲストスピーカー: 松井 譲治 氏 (特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン:マーケティングマネージャー)
実施内容:
 米国のトランプ大統領は、米国の貿易赤字は相手国による「不公正な貿易」の結果であると非難し、「公正な貿易」を求めて保護主義化を進めているが、「公正な貿易」、「公平な貿易」とはいったいどのような貿易なのだろうか? 今回の授業では、フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)のマーケティングマネージャーである松井譲治さんを講師にお迎えし、「フェアトレード」の意義と現状などについてお話し頂いた。
 「フェアトレード」とは、簡潔に言えば、途上国産の原料などを定められた基準に基づいて適正な価格で購入し、その国の人々の生活改善や自立を促す取り組みである。また、取引量に応じてフェアトレード・プレミアムという支援金のようなものも支払われ、現地生産者組合の話し合いのもと、教育や村の生活インフラの構築などに充てられている。その基準を満たした製品であることが消費者にわかりやすいようにフェアトレードラベルが付けられ、その認証をグローバルに行っている機関の日本支部がFLJである。
 講義では、とりわけフェアトレード・プレミアムの効果や、日本の「フェアトレード」市場の現状、日本企業の取り組み、セネガルにおけるコットン栽培の現地報告などが中心であった。日本でも若者には知られるようになってきた「フェアトレード」であるが、35歳以上の男性には知られていない現状、女性中心の取り組みになっている理由、あるいは、企業が「フェアトレード」に取り組み理由、逆に二の足を踏んでしまう理由など、とても興味深い内容であった。
 質疑応答の時間にも、途切れることなく質問があり、学生の関心の高さも伺えた。一口に「フェアトレード」のチョコレートと言っても価格が大きく違うのはなぜか? 企業が「フェアトレード」商品の販売を増やしたくても十分に調達できないのはなぜなのか? 最前線の現場にいる松井さんへの質問は、講義終了後も続いた。
 川上から川下までのサプライチェーンに加え、企業倫理、消費者意識、社会教育など、「フェアトレード」は商学領域に幅広く関連してくるので、今回「総論」科目として大変に有意義な講義となった。この場を借りて、講師の松井さんに改めて御礼申し上げたい。
 

小林 尚朗(科目担当教員)