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ゲストスピーカーによる特別授業(7月 8日実施)

1.実施日    
2019年7月8日(月)10:50~12:30

2.実施場所
和泉キャンパス 6番教室

3.科目名
日本語表現論A

4.テーマ 
落語の実演

5.ゲストスピーカー
桂 竹千代 氏(落語芸術協会 二つ目)

6.実施内容
 本学落語研究会のOBであり、プロの落語家で落語芸術協会の二つ目である桂竹千代さんより、落語の実演をしていただきました。
 前座として明治大学落語研究会の学生二人が落語を披露したあと、プロの噺家として竹千代さんに登場していただきました。
 本題に入る前のマクラでは、自身の前座修行時代のエピソードなどをコミカルに語ることにより聴衆との一体感を図り、その後小噺をたて続けに披露して、場の雰囲気を温めて笑いやすい状況を作り出していました。マクラや小噺の主なものとして以下のようなものがありました。
・ただいまの前座の学生が卒業生の話をしたが、自分に対して失礼であった。
・プロの落語家はお客の反応を見てから演目を決める。
・落語において、扇子や手ぬぐいなどの小道具の役割のレクチャー。
・ディズニーランドの掃除担当のキャストは、ゴミ拾いのことを「星のかけらを拾っている」「モンスターの食べ残しを拾っている」と表現する。
・世界一短い小噺「天国の話」。
・Tシャツをネタにした小咄。
・自身が桂歌丸師匠にかわいがられた話。
本題の落語は以下の三席でした。
・「ときうどん」
・新作落語「コーヒー先生」
・古事記落語(古代史落語)
 「ときうどん」は古典落語として有名なものです。東京落語では「時そば」の方が有名ですが、関西では「ときうどん」の方が一般的です。古典落語ではありますが、その中には現代風なアレンジがほどこされており、落語が現代にも根付いている話芸であることが実感できるものでした。登場人物の演じ分け、扇子の使い方、うどんを食べるしぐさなど、その高い技術に対して学生たちは感心していました。日常の話し言葉や、身振り手振りを使ったコミュニケーションにおいて、私たちも意識したほうがよい要素が数多く見られました。
 新作落語は、先生から職員室に呼び出された高校生が、先生から説教される話でした。先生はコーヒー好きであるため説教の端々にコーヒーやお茶にまつわる言葉を連発し、高校生もそれに対抗するというナンセンスな話で、聴衆である学生は爆笑していました。言葉遊びと話の展開が興味深いものでした。
 古事記落語は、竹千代氏が明治大学大学院文学研究科時代に研究していた「古事記」を題材にした個性的な落語です。イザナミノミコトからニニギノミコトの天孫降臨までの内容を面白おかしく文献に基づいて落語にしたものでした。ところどころに現代のエピソードを交え、知的かつおもしろい落語に仕上げられていました。教養のある大学生を対象にした今回のような場では、非常に受けると思われます。
 今回の実演は、落語というものが、話し言葉を使った高度な芸術であり、現代の日本文化に寄与しているということが実感できる有意義なものでした。

石出 靖雄 (科目担当教員)