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ゲストスピーカーによる特別授業(7月12日実施)

1.実施日    
2019年7月12日(金)10:50~12:30

2.実施場所
駿河台キャンパス リバティタワー 1011教室

3.科目名
観光事業論A

4.テーマ 
ツーリズム産業論—ツーリズムによる地方創生—

5.ゲストスピーカー
中川 貴弘 氏(JTBパブリッシング・マネージャー)

6.実施内容
 今回のゲストスピーカーは、JTBパブリッシングで国内の地域交流事業を担当されている中川貴弘氏に、「ツーリズム産業論—ツーリズムによる地方創生—」と題して、詳細に語っていただいた。以下は、その要旨となる。
 第1に、旅行業を取り囲む外部環境について解説があった。特に日本の人口が減少局面にある現在、外部から国内各地域を訪れる交流人口を増大する必要があると指摘された。この必要性に対して、わが国には観光振興に必要な気候、自然、食事、そして文化が備わっているゆえに、観光振興へ適切に取り組めれば、世界的視点で観光先進国になれる可能性があると述べられた。参考として、2017年ダボス会議のデータを根拠に、日本の観光競争力はスペイン、フランス、ドイツに次ぐ世界第4位ということが示された。訪日外国人旅行者数も増加傾向にあり、現状では、観光を通じた交流人口の増大という目標は順調に推移しているとの認識を明らかにした。
 第2に、旅行業の視点から、そうした外部環境の変化に対するJTBの戦略が披露された。同社のビジネスモデルは、これまでの旅行商品販売による手数料ビジネスから、顧客の課題解決に向けた旅行の提案に基づく相談手数料ビジネスへと転換を遂げようとしている。そのために、同社は世界的は交流を創造し、顧客の感動と共感を呼び起こせるような課題解決によって顧客の期待を超える価値を生み出すという企業目標を掲げていることが説明された。
 第3に、JTBでは課題解決を通じた交流人口の増大に向けて、地域活性化へ貢献するという戦略も設定していることが明らかにされた。すなわち、地域の課題解決を介して、発地側と着地側との調整をビジネスチャンスと認識し、同社は観光まちづくりに積極的に参画している。こうした事例として、日本一の星空ナイトツアー(長野県阿智村)、昭和の町ツアー(大分県豊後高田市)、パ酒ポートによる酒ツアー(北海道全域)、限界集落小原ECOツアー(福井県勝山市)、レールマウンテンバイクツアー(岐阜県飛騨市)などが解説された。
 最後に、「るるぶ&MORE」というJTBパブリッシングが実施している、グルメ、ライフスタイル、ショッピング、イベントなどの情報発信の取り組み事例が紹介された。

藤井 秀登 (科目担当教員)