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ゲストスピーカーによる特別授業(7月16日実施)







1.実施日    
2019年7月16日(火)10:50~12:30

2.実施場所
駿河台キャンパス リバティタワー 1115教室

3.科目名
総合学際演習(3年)

4.テーマ 
日本語教育と世界—アラブ人の日本語学習者を例として

5.ゲストスピーカー
ワリード ファルーク イブラヒム 氏(エジプト・カイロ大学文学部教授)

6.実施内容
 エジプトのカイロ大学文学部教授ワリード・ファルーク・イブラヒム博士に来ていただき、「日本語教育と世界—アラブ人の日本語学習者を例として—」というテーマでお話いただきました。
 ワリード・イブラヒム先生は、カイロ大学文学部日本語日本文学科で日本語を学ばれた後、国費留学生として日本に留学され、日本語日本文学の博士号を取得されました。その後、母校であるカイロ大学で教鞭をとられ、ミスル工科大学日本語学科長、カイロ大学日本研究センター長を歴任されています。ご専門は日本語とアラビア語の対照研究で、特に意味論や語彙論についての研究をされ、アラビア語母語話者向けの日本語文法書の執筆、井上ひさし作品のアラビア語翻訳などを多く手掛けられています。
 今回の特別授業ではそうしたワリード・イブラヒム先生自身の日本語との関わりを、専門的な視点や文化の違い等を織り交ぜながら話していただきました。取り上げられた内容は以下の通りです。
 1.エジプト(アラブ諸国)における日本語教育の現状
 2.アラビア語母語話者学習者の特徴と学習動機
 3.学習上の困難さ
 4.アラビア語と日本語の相違による困難さ「音声・文法・語彙・構文」
 5.日本語教育の「シラバス・カリキュラム」で配慮すべき点
 中でも特に、音声、語彙の違いについては受講生からの反応が多くありました。例えば、アラビア語は3母音のため、5母音の日本語を話したり聞いたりすることが難しく、最近では「令和(reiwa)」をアラビア語でどのように表記・発音したらよいか話題になったということ、「うらやましい/ねたましい/くやしい」という形容詞はアラビア語に対応する語彙はあるが、聞き手に引き起こす感情が異なることなどは、受講生にとっては日本語を改めて客観的に見るきっかけとなったようでした。
 初めて接するアラビア語という言語から見た日本語の姿を知ることにより、日本語の特徴だけでなく、アラビア語やアラブ・エジプト文化に対する興味もわくことになるような講義となりました。

黒﨑 典子 (科目担当教員)