商学部の現場
2022年7月14日(木)15:20~17:00
2.実施場所
駿河台キャンパス 1013教室
3.科目名
都市・地域交通論A
4.テーマ
「鉄道会社の役割—JR東日本五井駅の役割」
5.ゲストスピーカー
柳澤 和義 氏(東日本旅客鉄道五井駅長)
6.実施内容
柳澤和義氏による「鉄道会社の役割—JR東日本五井駅の役割」というテーマの講義をであったが、その内容は柳澤氏自身の経歴や社会人としてのキャリア形成、鉄道輸送の現場における基礎知識(閉そく、信号、関係法令や「非常停止ボタン」の役割など)、国鉄改革から昨今のコロナ禍における東日本旅客鉄道の課題や今後の展望、学生に向けたメッセージに至るまで多岐にわたるものであった。
鉄道事業は、折からの少子高齢化に加えてコロナ禍における企業のテレワーク導入により利用者数の増加が見込めない状況に置かれている。このようななかで地域輸送を維持する取り組みについて、JR五井駅での実例を示しながら具体的な検討がなされた。現役駅長の講義とあって当日の参加者の関心は総じて高かったようである。当日の講義における主要な項目は、以下のようであった。
●自己紹介
・「駅長」の立場
・中途入社のキャリア形成のあり方
●鉄道はどうやって動くのか?
・鉄道の発展史
・鉄道輸送の特性
・鉄道営業法
・「閉そく」、信号の理解
●鉄道の持つ役割と使命(経済三要素)
・「物」と「人」を移動させて金を得る
・鉄路の目的
・物流(鉱石、青果の長距離輸送)
・軍事輸送(新京成線、横須賀線、武豊線)
・聖地巡礼(奈良、成田)
・都市部の輸送
・長距離・高速化
・国鉄改革
・国鉄→JR:「黒字を目指すべき」(初代社長住田正二)
・「黒字化」:国鉄時代には軽んじられていた
●JR東日本が目指す姿
・経営ビジョン「ニューフロンティア21」(2000年発表)
・経営ビジョン「変革2027」(2018年発表)
・JREポイントを中心にした「JRE経済圏」の確立を図る
・「ライフタイムバリュ」の重視
・JR版のMaaS:ストレスのない移動の実現
・都市と地方をつなげる
・「Beyond Station構想」
●JR五井駅の役割と使命
・周辺鉄道会社、企業、文化施設などと連携した企画がある
・駅員自らイベントや駅弁を企画する
・駅サービスの「ITシフト」の促進
●山万株式会社
・「死なない街づくり」
・交通事業も行うが、メインは不動産開発業
・入居者の年齢層に沿って居住地区を調整している
・まちづくりとして成功していると考えられる