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9月28日(水)実施報告(水野 直樹氏【テーマ:在日朝鮮人の歴史-戦前日本の美術作品を通じて】)

1.実施日    
2022年9月28日(水)17:10~18:50

2.実施場所
zoomにて開催

3.科目名
総合学際演習4年生(水谷ゼミ)

4.テーマ
「在日朝鮮人の歴史-戦前日本の美術作品を通じて」

5.ゲストスピーカー
水野直樹先生(京都大学名誉教授)

6.実施内容

戦前に、日本人画家が描いた日本画や油絵、あるいは彫塑作品の中に、日本で暮らす在日朝鮮人を描いた作品が8点存在することを、水野直樹先生は突き止めている。それらの作品の約半数は、戦時の空襲で喪失、あるいは所在不明であるが、写真が残っている作品を含めたそれら8点からは、当時の日本で「在日朝鮮人」がどのような暮らしぶりだったか、日本人や日本社会と在日朝鮮人の繋がりが如何なものであったのかなどが、鮮やかに読み取れる。
大阪築港には当時、済州島と大阪を結ぶ船が就航しており、その港を描いた作品には複数のチョゴリ姿の女性が描かれ、港の繁栄と多くの朝鮮人の訪日が見てとれる。
荷引の重労働をする男性の彫塑では、その時代の朝鮮人男性の特徴的な髪型が作り込まれている。東武日光線の敷設現場や、多摩川河川敷で砂利をふるいに掛ける朝鮮人など、労働現場を描いた作品が多く存在する一方で、御洒落したチョゴリや浴衣を纏った女子児童を描いた作品も存在する。子どもをおぶった母親を描いた作品では、当時ならではの特徴的なチョゴリ姿の母親の姿が描かれていた。

このように、日本人画家が朝鮮人を描いた作品から、戦前日本での朝鮮人の暮らしぶりを見つめ、とりわけ絵画に描かれた在日朝鮮人の移動と労働の姿から、当時の日本社会と朝鮮人の関係を考えていく授業が、行われた。


水谷尚子(科目担当教員)