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10月24日(月)実施報告(横山和輝氏【テーマ:金融リテラシーについて】)

1.実施日
2022年10月24日(月)15:20~17:00

2.実施場所
zoomにて開催

3.科目名
金融論B

4.テーマ
「金融リテラシーについて」

5.ゲストスピーカー
横山和輝氏(肩書:名古屋市立大学教授)

6.実施内容

 Mac Keynoteによる極めて美しい、優れたスライドを元に講義が行われた。適宜、クイズ問題を出し、学生の回答をリアルタイムで受けて、動的に双方向で展開された授業であった。日本の最先端マーケティングである、SFプロトタイピングから授業を始めた。そうした革新的イノベーションの例を挙げ、アメリカのそれに資金を提供する革新的ベンチャーキャピタルという金融機関の話につなげる。イノベーションから、それを初めて概念化した経済学者、経営学者のシュンペーターに言及した。イノベーションの社会的意義を説いた。イノベーションのキーとなる金融機関は、有効なイノベーションの情報を集積する機能、技術の種を活かせる目利きが必要である。ベンチャーキャピタルの専門家は、バイオならば、バイオ専攻の大学院に通うや、最先端の学会に出るほど、専門性を極める。

 次に、社会的にイノベーション企業への資金供給として、フィッシャーの2期間モデルの説明に入った。金利と時間割引率の要因で決まるが、学生にとって理解しにくい時間割引率について、「せっかち度」というたとえ比喩で説明したのは、教育法として見事であった。これは教員として参考にしたい。可処分所得からの貯蓄の大小を決める要因の話に進む。

 最後に、経済史、金融史の専門家として、江戸時代、戦前の金融リテラシーにつなげた。意外にも、江戸時代、寺子屋で、円周率、円の面積、楕円方程式のような金融につながる教育は、多く行われていた。当時、役人が決める農地の面積で、年貢が決まったので、役人に多く取られないために、面積計算用の金融に関係する数学は教えられ、庶民も必死で身につけていたのである。また、明治5年以降、小学校の算数カリキュラムとして、複利計算が教えられていた。これは、当時の国民にとって激しく、必要性があった。農家などが困窮して、借金をするとき、金利計算が複利だったからである。このように、戦前までの日本の教育は、算数、数学の中で、社会科で必要となる金融計算が教えられていた。ところが、戦争の統制、兵器開発のための理工系偏重から、数学と理科が結びついて、算数と社会科が切り離されて戦後も続く。


小原 英隆(科目担当教員)