Go Forward

卒業生の声

卒業生の声(齋藤さん)

齋藤直樹(さいとう なおき)
藤岡市教育委員会 文化財保護課(2019年大学院博士前期課程修了)


 

——簡単に自己紹介をお願いします

 2013年に明治大学に入学し、学部4年間、大学院2年間のあわせて6年間、明治大学で考古学を学んでいました、斎藤です。大学院修了後は群馬県藤岡市に奉職して、現在で3年目となります。在学中は古墳時代について、とくに埴輪に注目して研究を行っていました。

——普段はどのようなお仕事をされているのでしょうか

 所属している埋蔵文化財係では、埋蔵文化財の保護と活用を主な業務として行っています。保護の面では、地下に遺跡が眠っている土地(埋蔵文化財包蔵地)で行われる開発行為にさきだって、遺跡や遺物を保護・保存するために発掘調査を行っています。また、こうして保護した文化財を活用するために、発掘成果を公開・普及する現地説明会を開催したり、地域の歴史を紹介するための企画展を行っています。

——現在のお仕事で心がけていることを教えてください

 仕事にやりがいや楽しさを見つけることです。業務のなかには(気が進まなくても)やらなければならないものもたくさんあります。ネガティブにとらえて仕事を進めていると、ミスも多くなりうまくいきません。ですので、その中にやりがいや楽しさを見つけて、できるだけポジティブな気持ちで仕事に取り組むようにしています。

——明治大学で考古学を学んでよかった、と感じることはなんでしょうか

 考古学を学ぶ環境が非常に整っていることです。旧石器時代から古墳時代にかけて各時代・分野で研究をリードする先生方の下で学ぶことができ、発掘調査や遺物の整理作業などの実践の場も多くあります。学史に残る遺跡から出土した遺物が多数収蔵されているほか、専攻設立からの約70年のなかで集まった豊富な文献・報告書が揃う図書室もある明治大学博物館があることも、魅力のひとつです。

——外から眺める明治大学っていかがですか

 ラグビーや駅伝など、スポーツで明治大学の名前が出ると、ついつい応援してしまいます。在学中はあまり意識していませんでしたが、母校への愛着が芽吹いていたようです。

——大学生活で得たものって何でしょう

 自分の意見を正しく理解し、客観的に見つめる力だと思います。「なんとなくこう思う」という曖昧なものから「こういう理由からこう考える」へと、自分の考えや意見をしっかりと形にすることは案外難しいと思います。また、自分の意見を他人に伝えるときには、こうして形にした意見に矛盾点や違和感などがないかを確認することが重要となってきます。考古学専攻では、3年生、4年生の2年間で所属するゼミでは個人発表の機会が多く、同級生や先輩、先生など多くの人と意見を交わすことが多いため、このスキルが自然と養われていきました。

——考古学専攻で思い出に残っていることはありますか

 学部3年生の時に参加した、茨城県行方市大日塚古墳の発掘調査です。 “遺跡を掘る”という経験をした初めての調査で、残りが非常に良い形象埴輪がたくさん出土しました。この経験がきっかけとなって、埴輪を研究することになり、博物館で展示を行い、考古学を職業として選ぶことになりました。

——文化財の仕事に就くために、今から始められることってありますか

 “考古学”にたくさん触れておくことでしょうか。文化財関係の職業に就職すると、現場や遺物とは切っても切れない関係となりますが、一番重要なのはそれらに対する興味・関心を持ち続けていくことだと思います。
遺跡の現地説明会では、その時発掘している遺跡を調査担当者の話を聞きながら見学できますが、生で現場を見ると、写真や動画では伝わらない現場独特の雰囲気なども肌で感じられます。各地にある博物館では土器や石器をケース越しに見ることができるだけでなく、遺物に直接触れるコーナーを設けている施設もあります。そうした場を訪れて興味や関心を高めておくことをお勧めしたいと思います。

——受験生の皆さんにアドバイスはありますか

 大学入試は、一年以上の長い闘いです。真剣に取り組むことは勿論必要なことですが、つらく感じるときもたくさんあるので、いずれ気力が途切れてしまいます。時には息抜きをしつつ、自分の調子をコントロールしつつ、無理のないペースで立ち向かってください。