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教員紹介

若狭 徹(わかさ とおる)

——自己紹介をお願いします

 1962年に長野県で生まれ,3歳から群馬県高崎市で育ちました。内陸育ちなので海をみると異様に興奮します。趣味はジャズを聴くことと温泉巡り,美味い純米酒を飲むことです。

——昔から考古学者になりたかったのですか?

 群馬は田舎でしたので,子供のころの遊びはもっぱらカブトムシ採りでした。ところが小学校4年のとき「虫採りは子供の遊びだから」とか言って(笑),上級生と土器拾いを始めたのです。これにはまって,小学校の卒業文集に「考古学者になりたい」と書き,紆余曲折あって今に至っています。

——紆余曲折ってどんなことですか?

 明治大学を1985年に卒業したあと,家庭の事情で大学院に進学せず,地元自治体の教育委員会に文化財専門職として就職しました。
 大開発に追われながら遺跡の発掘調査を行ったり,行政内で文化財保護の体制を作るために奔走しました。発見された重要な遺跡を保存するための交渉,国史跡に指定する事務,遺跡の土地買い上げ,学術発掘調査,史跡公園を建設する工事も担当しました。
 史跡公園内に建てる博物館の構想を立案し,建設も経験しました。開館後は学芸員として,市民に考古学の楽しさを伝える仕事にも取り組みました。市の管理職として,ユネスコ「世界の記憶(世界記憶遺産)」の登録にも関わり,それを最後に大学へ転職しました。

——現在どんな研究をしていますか?

 古墳時代を専門としています。主に東日本の古墳時代社会について,農業経営や交通網,手工業生産,渡来文化の導入など様々な側面から,立体的かつダイナミックに読み解く作業を進めています。
 また遺跡の保存や活用の方法,考古学と現代社会をつなぐ仕事にも関心をもっています。

——受験生へのメッセージ

 市役所時代,遺跡を残していく時に様々な抵抗や障害がありました。その過程で,市民,議員,役所の同僚・幹部などと「この遺跡を残して活用することで,心豊かなまちにしていきたい」と夢を語り合い,それが実現のための力になっていきました。青臭いようですが,やはり「夢」が人や社会を動かしていくように思います。 
 そこで皆さんには,大学時代に「夢」を紡ぐための「学問的・人間的な力」を蓄えてほしいと希望します。どんなジャンルに進む場合でも,それがいずれ,自分にとっても地域社会にとっても,大きな資本になって開花する時が来ると思います。