Go Forward

国際日本学研究科

馳浩前文科大臣の講演会「なぜ日本語教育推進基本法が必要か」が中野キャンパスで行われました

2017年06月26日
明治大学 大学院国際日本学研究科

2017年6月5日に、明治大学中野キャンパスにて、明治大学大学院国際日本学研究科の特別講義として、馳浩衆議院議員が「なぜ日本語教育推進基本法が必要か—前文科大臣が語る外国人のための日本語教育のビジョン」と題した講演を行いました。

 

馳議員は、文部科学政務官、同副大臣を経て、同大臣を201510月から20168月まで務めており、国会における教育行政分野の第一人者といえます。昨年12月の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)の制定においてリーダーシップを発揮した馳議員が現在、力を入れているのが日本語教育です。馳議員は現在、与野党議員が参加する日本語教育推進議員連盟(201611月発足)の事務局長を務めています。

 

当日は、同研究科や国際日本学部の学生のほか、学外から日本語教育の研究者や都内の日本語学校関係者も多数参加し、あわせて50人近くが聴講しました。国際日本学部の山脇啓造教授が司会を務めました。

 

馳議員は、講演の冒頭に、所管省庁が曖昧な課題は、議員立法が必要であることを述べるとともに、今年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に初めて「日本語教育の拡充」という文言が盛り込まれたことを報告し、日本語教育を国策として推進しなければいけないことを強調しました。

 

講演は、「日本語教育推進基本法案(仮称)骨子案イメージ座長試案に対する意見(概要)」と題した資料を配布して行われました。この資料は、日本語教育推進議員連盟において検討を進めるために、馳議員が作成した基本法骨子案とそれに対する関係省庁や自治体のコメントが紹介されているもので、今回初めて公にされたとのことでした。

 

同骨子案は、「総則」「基本方針」「基本的政策」「日本語教育推進協議会」の四部構成となっています。「総則」には目的、定義、基本理念、国の責務、関係者相互間の連携強化、財政上の措置といった項目が盛り込まれています。目的は「日本語教育に関する施策を総合的に推進し、もって我が国に居住する外国人との共生による活力ある社会の実現に資する」とあり、基本理念には、「日本語教育の推進は、外国人に係る教育、労働、出入国管理その他の関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に行われなければならないこと」が示されています。

 

関係省庁や自治体から最も多くのコメントがあった「基本的施策」は、「日本語教育の普及推進」、「日本語教育の質の保証」「日本語教育に係る調査研究」が盛り込まれています。この中で馳氏がその意義を強調したのは「日本語教育の質の保証」で、日本語教育機関、日本語教育人材、教育内容・教材開発、日本語能力の評価が含まれています。特に、日本語教育人材の育成は「この法律の肝」であると明言しました。

 

馳議員は、講演を通して、時折ユーモアも交えながら、国内外の日本語教育の基盤整備をするために、日本語教育推進基本法が必要であると熱く語りました。70分ほどの講演の後、質疑応答に移りましたが、聴衆からの質問は途切れることなく続き、当初の講演時間を10分以上オーバーするほどで、大変充実した講演会となりました。

明治大学大学院