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国際日本学研究科

国際日本学研究科特別講義「これからの日本社会のあり方—多文化共生の観点から」を開催しました

2022年12月05日
明治大学 国際日本学研究科

2022年11月24日に、明治大学大学院国際日本学研究科主催の特別講義「これからの日本社会のあり方—多文化共生の観点から」がオンライン(Zoomミーティング)で開催されました。地方自治体と市民団体関係者を中心に、大学教員・研究者、学生、企業等、多様な分野から約200名の参加者が集まりました。

講師は出入国在留管理庁初代長官の佐々木聖子氏。同氏は、2015年4月に法務省大臣官房審議官に着任し、2018年12月の入管法改定を主導し、2019年 1月に法務省入国管理局長、2019年4月に出入国在留管理庁の初代長官に就任し、2022年8月に退任したばかりです。司会は山脇啓造国際日本学部教授が務めました。

講義では、最初に50分ほど佐々木氏の講演があり、外国人受け入れの過去、現在、未来について、労働者、留学生、永住者、難民など分野横断的に、包括的な観点からお話いただきました。[佐々木氏の講演資料] その後、浜松市国際課の鈴木三男課長、NPO法人国際市民活動中心の新居みどり理事、株式会社セブンイレブン・ジャパンの安井誠グローバル人材支援総括マネージャー、ランゲージワン株式会社のカブレホス・セサル多文化共生推進ディレクターからコメントと質問をいただき、佐々木氏に回答していただきました。さらに参加者からチャットを使っていただいた多くの質問に、佐々木氏に回答していただき、閉会となりました。

講義後のアンケートでは、70名近い回答者のうち、94%の方が講義の内容に満足したと答えました。以下、受講者の感想の一部を紹介します。

「過去・現在・未来とわかりやすくお話いただき、とても勉強になりました。国として中長期的なビジョンを持ちつつ、あらゆる分野業界組織が連携しながら実態の改善に努める。その中で、中長期ビジョンを修正していく。実際まだまだ至る所に課題はあれども、こんな感じで進んでいくのかなと思いました。」

「入管制度のこれまでの流れと今後の方向性について理解でき大変勉強になりました。持続可能な日本社会を考えるうえで多文化共生は必要不可欠かと思います。入管法や日本語体制ももちろん大切ですが、まず日本人が広く関心をもつことが重要だと思います。」

「多くの相談を受ける中で入管の意図やビジョンが見えず、暗澹たる想いに駆られることが少なからずある中で、入管行政の先頭を走ってこられた方の本音に迫るお話しを伺うことができ、とても嬉しく思いました。同時に、退官していなければ表立って発することが叶わないメッセージであることもよくわかりました。これは、いかに今の日本社会が縦割りやセグメント化された発想のもとに複雑に入り組んだディープアンダーグラウンドで動いているかを示すものであり、今後、外国の方をも包摂した多様な日本社会を考える際に、まずこの基盤を解きほぐしていかなければ、真の多文化共生社会は望めないと確信しました。」

「多文化共生の議論が、自らの所属団体(専門分野)の利益誘導的な議論に偏らず、長期的な外国人受入れ政策のビジョンに基づく、全体を俯瞰した議論にならなければいけないと思いました。また現在のさまざまな法的規制の効果と実効性、有益性を検証し、いたずらに制度を複雑にして、むやみに違反者を増やすことのないよう、外国人が普通に暮らしやすい社会を構築していくべきだと思いました。」

「期待にたがわず、丁寧に整理された内容は大変参考になりました。国のあり方への疑問も感じられているようにお見受けし、今後のご活躍を願っています。」



 
明治大学大学院