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国際日本学研究科

明治大学大学院国際日本学研究科特別講義、塚口綾子「乙女ゲームの発展史~ゲーム開発者の視点から」を開催

2025年09月02日
明治大学

講演者:塚口綾子さん講演者:塚口綾子さん

多くの参加者が教室に集まりました多くの参加者が教室に集まりました

大勢の参加者が熱心に聞いておりました大勢の参加者が熱心に聞いておりました

塚口さん(右)とコーディネーター藤本(左)塚口さん(右)とコーディネーター藤本(左)

発表資料より発表資料より

7月12日、明治大学大学院国際日本学研究科は、明治大学中野キャンパスにおいて、明治大学理工学部のOGでもあるゲーム開発者・塚口綾子さんによる特別講義「乙女ゲームの発展史~ゲーム開発者の視点から」を開催しました。
中野キャンパスでの対面参加者約200人に加えて、オンラインでの同時配信による参加者が200名以上おり、終了後も講師の前に長い列ができ多数の質問がかわされるなど、非常に熱いイベントになりました。

塚口綾子さんは、理工学研究科基礎理工学専攻(数学系)の出身で、藤田宏先生、桂田祐史先生の指導を受けられました。この時に学んだことは、ゲームのシナリオ構造を作る時などに役に立ったと語っています。
大学院卒業後は、株式会社光栄(現コーエーテクモゲームス)に入社し、乙女ゲームの最初期のヒット作である「遙かなる時空の中で」「金色のコルダ」を手掛け、ゲームシステムだけでなく、ストーリー、キャラクター造形まで含めたメイン企画・ディレクションを担当しました。その後、株式会社CROOZを経て、2014年から株式会社Donutsへ。現在は「BLACKSTAR -Theater Starless-」を開発・運営しています。

当日は、今回のテーマである「乙女ゲームの発展史」を、まずAIの提言に従ってプレゼンテーションし、2巡目に今度は自分の意見を交えながら語るというユニークな講演形式で行われました。ゲーム史の本はたくさん出ていますが、実は、その中で「乙女ゲーム」や女性向けゲームに触れているものは皆無と言ってよく、今回の講演で初めて、「乙女ゲーム」の通史が語られたと言ってもいいかもしれません。懐かしいゲーム名が次々と出てくる塚口さんのお話に、聴衆は皆、目を輝かせて聞き入っていました。

世界初の乙女ゲームは、塚口さんが入社した光栄(現コーエーテクモゲームス)が出した「アンジェリーク」で、いま考えても素晴らしいゲームです。とはいえ、これしかお手本がなく、棚に女性向けゲームは1本しかないという状況から、新しい乙女ゲームを立ち上げる苦労を経てしだいに棚が作られていく喜び……いまや「乙女ゲーム」は一つのジャンルになったとはいえ、開発者・プレイヤーともに男性が多いゲーム業界の中では、開発費一つ考えても、乙女ゲームにはまだまだ乗り越えられるべきハードルが存在することも伝わってきました。
しかし、塚口さんの講演でも最後に紹介されていましたが、ゲーム史の本にはなくとも、ネットには、「乙女ゲームの30年」を解説するサイトが存在します。
乙女ゲーム30年のあゆみ:https://macc.bunka.go.jp/1707/ 
このサイトの著者であり、乙女ゲームの研究者として有名な立命館大学博士課程の向江駿佑さん(池坊短期大学等非常勤講師)も、この特別講義に京都からかけつけてくださり、乙女ゲームを研究する院生たちとも活発な交流が行われ、そうした意味でもたいへん意義深いイベントとなりました。
(文責:明治大学国際日本学部教授・藤本由香里)
明治大学大学院