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理工学研究科

【理工学研究科・応用化学専攻】中川大輝さん(応用化学専攻博士前期課程2年:指導教員 相澤 守 教授)が第8回JACI/GSCシンポジウムで「GSCポスター賞」を受賞しました

2019年06月28日
明治大学 理工学部事務室

 理工学研究科応用化学専攻生体関連材料研究室(相澤守教授)では、新しいがん治療法として注目されている養子免疫療法(細胞免疫療法)に有用な「免疫系に積極的に働きかけるバイオセラミックス」の研究に取り組んでいます。養子免疫療法は、患者自身の免疫細胞(がん治療に有効な細胞)を体外で培養・活性化し、再び患者の体内に戻すことによってがんを治療する方法であり、副作用が少ないといった利点から近年注目されています。

 相澤研究室では、バイオマテリアル研究の知見を活かし、材料自身が免疫系に働きかけるセラミックス(ホウ素含有アパタイト: BAp)の創製に成功しました。しかしながら、従来の作製方法では、BApセラミックスの組成が目的とする化学量論組成とやや外れてしまうという課題が残されていました。本発表では、そのBApセラミックス作製方法を見直し、出発原料を化学反応させながら、同時にセラミックス化する「反応焼結法」というプロセスを適用し、化学量論組成のBApセラミックスを得ることに成功しました。実際に、作製したBApセラミックスに対する免疫細胞の応答性を調査したところ、がん治療に有効なキラーT細胞およびヘルパーT細胞の細胞比率を従来のものよりも約2倍増大させる効果があることが分かりました。

 上記の研究成果が認められ、6月24日・25日に東京国際フォーラムにて開催された第8回JACI/GSCシンポジウムにおいて、GSCポスター賞を受賞しました(対象発表190件中22件が受賞)。GSCは「グリーン・サステイナブル・ケミストリー」の頭文字をつなげた略号です。JACI/GSCシンポジウムは「持続可能な発展のための化学技術イノベーションの推進」を目的として公益社団法人 新化学技術推進協会(JACI)主催のもとに開催されており、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、産学共同での活発な議論が行なわれております。なお、この研究は、東京医科歯科大学との共同研究であり、科研費(H27-H29;基盤研究B)、本学重点研究B(H30より)および明治大学「生命機能マテリアル研究クラスター」研究の一環として実施されました。

演題:免疫系に積極的に働きかけるバイオセラミックスの作製とその評価
発表者:○中川大輝、加々見早苗、永井重徳、相澤 守
 

関連ホームページ:
第8回 JACI/GSCシンポジウム http://jaci-gsc.com/8th/
公益社団法人 新化学技術推進協会 http://www.jaci.or.jp/
応用化学科 相澤研究室 http://www.isc.meiji.ac.jp/~a_lab/
明治大学生命機能マテリアル研究クラスター http://www.isc.meiji.ac.jp/~a_lab/cluster/

明治大学大学院