環境人文学

地球環境問題は、本を正せば、人間のものの考え方や価値観から生じたものです。海洋汚染にせよ森林破壊にせよ生物多様性の減少にせよ放射性物質による環境汚染にせよ、そもそもの原因は人間にあります。
それゆえ、地球環境問題への対応が喫緊の課題である現在、人間のものの考え方、すなわち意味、価値、責任、目的をめぐる根本的な問いを考察することは極めて重要かつ不可欠と言えるでしょう。

意味、価値、責任、目的といった問題は伝統的に人文学諸分野において研究されてきましたが、環境の時代が幕を開けた1970年代以降、環境問題に応答するかたちで人文学諸分野に再編成の動きが生じ、環境哲学・倫理、環境史、エコクリティシズム（環境文学研究）、環境人類学・マルチスピーシーズ人類学 といった学際的マインドを特徴とする専門分野が生み出されてきています。
21世紀に入り、「地球の限界」が科学的に提示されるほど状況が緊迫するに至り、専門分野を積極的に逸脱して人間、環境、社会、地球を根本的かつ学際的にとらえ直す〈環境人文学〉と呼ばれる動きが活発になっています。

そのような動きを背景とし、それをさらに推し進めるため、明治大学大学院理工学研究科建築・都市学専攻総合芸術系では、青山学院大学大学院文学研究科英米文学専攻、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科異文化コミュニケーション専攻と連携して、高等教育における環境人文学を推進することを目的に、単位互換制度を設けることになりました。

 

理工学研究科内に設置されたコースとしての特殊性を活かし、「場所、芸術、意識」をキーワードに、人文・社会的な知を科学・テクノロジー的な知と結合する触媒・表現・コミュニケーション手段としての芸術の可能性を、実作と理論の両面から追求しています。
「環境人文学」プログラムの専門科目としては、エコクリティカルな意識をもって現代社会とその表象を考察することを目的とする以下の科目を提供します。

科目名	単位	担当者	曜日	時限	学期
批評論	2	管啓次郎	木	3	春
映画史特論	2	管啓次郎	木	3	秋
写真史特論	2	倉石信乃	水	3	春
現代美術特論	2	倉石信乃	水	3	秋
環境と人文学	2	鞍田崇	金	2	春
環境とデザイン	2	鞍田崇	金	2	秋
空間表象論	2	山本洋平	木	2	春