極限環境湖でのサンプリングの様子と線虫
寄生線虫感染症により枯れ果てた山林
線虫は地球上で最も多様な動物の一つです。彼らは体長わずか1mm程度の微小動物でありながら、さまざまな環境に適応し、陸地から深海まで広範な生態系で生息しています。私たちの研究は、遺伝子や形態学的特徴、生態レベルで線虫の多様性を解明し、彼らが生態系において果たす役割や相互作用、そして生物進化のプロセスを理解することを目指しています。例えば、最近の研究では、米国の極限環境湖から人間の500倍ものヒ素耐性を持つ線虫を発見しました。彼らがどのように毒物が充満する環境に適応しているのか、そのメカニズムについても探求しています。近年ガン検査に線虫が利用され始めたように、線虫にはまだまだ知られていない可能性が広がっています。また、線虫の中には農作物や樹木に寄生し、大きな被害をもたらす種も存在します。これは食料生産と環境にとって重大な脅威となっています。私たちは寄生線虫に立ち向かうための手段の開発にも取り組んでいます。線虫の多様性研究は未知なるフロンティアへの挑戦です。私たちと一緒に、生命の多様性と進化の謎を解き明かす旅に出ませんか?(新屋良治准教授)