資源循環型社会の構築には、植物残渣など未利用部位の有効な利用法の開発が求められます。なかでもアスパラガスは未利用部位の産出量が多く、その処理は世界的にも急務の課題です。「野菜園芸学研究室」では、代表的な機能性成分であるルチンとプロトディオシンを解析し、前者は褐色根や擬葉に、後者は鱗芽などの地下部に多く、露地と植物工場の栽培研究の比較から環境制御により両成分の含有量を増減でき、ルチンに生育阻害物質の可能性があることを明らかにしました。そこで、明治大学が開発した世界初の画期的な栽培法である1年養成株全収穫栽培法「採りっきり栽培」を用い、露地と水耕で環境制御しながら栽培し、成長と両成分の含有量との関係を明します。世界規模の問題であるアスパラガスの連作障害の回避と、現在廃棄物である未利用部位の新たな利用価値の創出の実現のため、生産現場で実現できる環境制御による新栽培法の開発を目指します。(元木 悟 教授)