Go Forward

学部ガイド座談会

INDEX

学生の個性を伸ばす多彩な研究・教育指導

山内:情コミの持つ学際性や多様性について、学生の皆さんが日々の学びの中で実感し、成長の糧にできているようで何よりです。今度は先生方にお聞きします。教育において、どのような工夫をなさっているのでしょうか。

横田:学生の関心を生かす、あるいは新たに発見できるような授業を心がけています。私の専門は異文化理解や国際政治、法律、経済学、ジェンダーですが、それぞれに興味を持つ様々な学生がゼミにいます。その多様性を尊重できる授業を……と考えています。

田中:社会学を軸にジェンダー、メディア、テクノロジーを研究しています。私もまた、学生たちの多様な関心に応えられるよう柔軟な指導ができればと。具体的には、研究手法において、たとえば社会学的・人文学的アプローチを使い分ける、あるいは組み合わせるなど、研究目的に応じて指導するようにしています。

ドウ:私は主に英語科目を担当しており、授業の一環でコミュニケーションアクティビティを実施しています。情コミには多彩なゼミがあり、学生はみな自分が普段どんなことを学んでいるかを、授業の中で活発に話してくれています。言語習得においては闇雲に語学力を上げようと考えるより、会話の内容に興味を持つことが大切。上達の秘訣であり、意義のある活動かと思います。


奥から 坂本さん(1年)、田中先生、横田先生

現代社会に欠かせないグローバル面での取り組み

山内:学際性と多様性というキーワードと関連して、情コミが近年ますます力を入れている取り組みの一つに国際性の醸成があると思います。
こちらについて、先生方のご意見をお聞かせください。

横田:私は複雑な社会事象を紐解くにあたり、必要な軸が3つあると考えています。歴史などの時間軸、国際性、専門性です。その一つである国際性の醸成において情コミが学部間協定留学とともに力を入れているのが、「世界のキャンパスから」という授業です。これは1年次から受講でき、海外の大学の授業を体験できる講義です。低学年から海外への興味を持ってもらい、短期サマープログラムや長期留学に繋げる仕掛けとしています。また、ゼミ独自の取り組みとして、学生と共に海外へフィールドワークに行くこともあります。

田中:在外研究で2年ほどヨーロッパに滞在した際には、中国人やインド人など同じアジア圏の研究者の活躍に驚きました。日本の研究者ももっと英語を使って海外に発信し、国境にとらわれない考え方で研究・教育を行っていかなければと感じたものです。

手前から 町田さん(2年)、ドウ先生、新井さん(4年)、松倉さん(3年)

 山内:評価されている研究は大体、海外のジャーナルに載っているのですよね。つまりは研究の上でも、英語やドイツ語を使いこなせたほうが有利です。これらの言語を使ってグローバルに発信し、日本のプレゼンスを高めていきたいですね。語学の重要性という観点で、ドウ先生のお考えをお聞かせください。

ドウ:実は世界全体の割合としては、母語としてではなく第二外国語として英語を話す国の方が多いのです。日本の学生にも第二外国語として、国際的にきちんと通用する英語を話せるようになってほしいです。日本では、受験期は細かな文法や語彙を身につけさせる教育が多く、苦手意識を持っている学生が多いと思います。途中で心折れずに継続的に英語を学ぶには、各々自分に合ったやり方があると思うので、授業の中で見つけてもらえればと考えています。最近は、学生たちにグループワークで課題を解いてもらうようにしています。多様な考えを持った学生たちが集まっているため、互いに刺激を受けているようで、この点でも取り入れてよかったなと感じます。

真の学際性・多様性を育む未来を見据えた盤石な指針を

山内:情コミは2024年に創設20周年を迎えました。21年目のいま、新たなスタートを切るにあたり、学部としてどうあるべきでしょうか。

阿部:学際性・多様性を普遍的な学びのキーワードとして残しつつも、もう少しカリキュラムの中に必修科目を増やすべきだと考えています。特に学際性は、高度な専門性があってこそ生きるので、ある程度1・2年次で基幹科目を設置し、そこで得た気づきや問いを3・4年次で展開していくカリキュラムにしたい。その方がより隣接領域の学びにも生かされるはずです。

田中:同感です。自由は規律があってこそ生きるもの。自由な学びは魅力的ですが、ある程度方向性を教員側が示した方が充実した学びにつながるのではないでしょうか。特に社会科学の研究には独自の手法を使う場面が度々あり、多くの学生に必要な素養だと考えて指導しています。基本を押さえなければ、各々やりたい研究にも従事できないので。

山内:軸となる学びがあってこそ、他の学問と結びつけてきちんと分析できますよね。ぶれない軸を持っていてこそ、有益な議論もできるし、真の多様性も育まれます。

阿部:自分の学生時代を振り返っても、「まずはこれをしっかり勉強する」という、軸になる科目がありました。情報コミュニケーション学部でも、10年、20年先も揺るがない盤石なカリキュラムをつくっていきたい。国際性を磨く一環として第二言語の授業の充実、学際性を打ち出せる取り組みとして他学部履修への柔軟な対応にも引き続き力を入れていきたいところです。また、学内の研究拠点として、学生・教員が交流を図れる研究交流祭など、情コミ独自のカラーを打ち出せる取り組みも継続していきます。

NEXT ▶▶▶ 進路選択にも生かせる心強い学び