Go Forward

国際日本学部

山脇ゼミが横浜市立相沢小学校で3回目の多文化共生ワークショップを対面で行いました

2022年01月27日
明治大学 国際日本学部

山脇ゼミ3年生(12期生)は、1月17日に横浜市立相沢小学校6年生の2クラス(計33名)を対象にした第3回多文化共生ワークショップを対面で開催しました。第1回、第2回のオンライン・ワークショップで「多文化共生」と「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」について学んだことを踏まえ、今回はまとめとして「やさしい日本語」を題材に開催しました。やさしい日本語とは、誰にとってもわかりやすいように、敬語や熟語を避けて簡単に表記したり、話したりする日本語のことです。山脇ゼミでは、2018年度からやさしい日本語の普及に取り組んでいます。

このワークショップを通して小学生に「やさしい日本語」を知ってもらい、日本に住む外国出身の方にこれから出会った時、見た目で判断して英語などで話すのではなく、まずはやさしい日本語でコミュニケーションをとってほしいという想いで開催しました。今回は、6グループに分かれ、小学生5~6人とゼミ生1~2人が一緒にワークを行いました。構成は①「やさしい日本語」の説明、②文章をやさしい日本語に直すワーク、③やさしい日本語かるた、④やさしい日本語ラップ「やさしい せかい」の4部構成です。

第1部では、やさしい日本語について説明した後、日本に住む外国人に一番伝わる言語は日本語なので、まずはやさしい日本語で話しかけてほしいと伝えました。

第2部では、バレンタインについての文章をやさしい日本語に直す、というワークを行いました。ここでのポイントは「はっきりと」「最後まで」「みじかく」言う「はさみの法則」を意識することでした。「もっとわかりやすい言い方ないかな?」「その言葉いいね!」と活発に話し合いながら、ワークに取り組む様子が印象的でした。

第3部では、ゼミ生が作成したオリジナルのかるたで、楽しみながらやさしい日本語を学んでもらいました。ゼミ生が難しい日本語の言葉を読み上げ、各グループに用意したやさしい日本語の札の中から対応するものを取る、というものです。1枚1枚取るたびに歓声が上がり、対面ワークショップならではの盛り上がりでした。

第4部では、山脇ゼミが制作に全面協力し、去年公開されたやさしい日本語がテーマのラップ「やさしいせかい」を聴いて、サビを皆で一緒に歌いました。サビ以外の部分から口ずさんでくれている子もいて、この曲を通して多文化共生への関心をさらに深めていってほしいと感じました。

ワークショップ終了後には「もっと多文化共生について勉強したい」、「またワークショップをやりたい」などの感想をもらい、全3回のワークショップが相沢小の子どもたちの学びになったことを実感し、非常にやりがいを感じられた最終回となりました。ワークショップが終わって学校を出る時に、子どもたちが校門に集まって私たちを見送ってくれ、熱いものがこみ上げてきました。これからも、子どもたちが多文化共生に少しでも興味を持つきっかけとなるようなワークショップづくりを続けていきたいです。
(国際日本学部3年 北村奈々)

<子どもたちの感想>

「やさしいには2つの意味があり、2つとも、世界のかべをこえるために大切なやさしいでした。ハサミの法則をかるたやワークをして学びました。日本人でも、意味をよく考えないと分からないような、むずかしい言葉があって、外国の方だけでなく、相手に伝える言葉一つ一つをやさしい日本語にしながら話したいと思います。」

「私たちは、『マック行こ〜』など、外国の人たちのことを考えていなかったので、外国人の人と話すときは、はさみの法則を使おうと思いました。ラップで伝える、楽しいアイディアがとても良いと思いました。もっと、はっきり、さいごまで、みじかく言ってあげたいなと思いました。」

「やさしい言葉にバレンタインの文を変える時、一つの文を変えるだけでもむずかしいのに、本当に外国の方と話す時はそっきょうでしゃべらなくちゃいけないから、言葉はやっぱりむずかしいと感じた。言葉のカルタも学びながら楽しめたからよかった。」

「やさしい日本語とは、自分だけじゃなくみんなに伝わるように日本語を言うという事が分かりました。日常では、外国人に伝わりにくい事も、やさしい日本語で伝わるようにしたいと思いました。」

「外国人でも英語だとアンコンになってしまうから、誰でも分かるやさしい日本語で話しかけていこうと思います。これまでワークショップで習った事を生かしていけるようにしたいです。」

「今日のかるたや、どうが、プリントをやって、みためではんだんするよの中をやさしい言葉でかえていき、みんなで差別をしない世界をつくりたいと思いました。」

「ぼくたちには、かんたんな言葉でも他の人には、むずかしいということをしれた。今日の学びをいかして、やさしい日本語をたくさんつかいたいと思った。」

<ゼミ生の感想>

計3回のワークショップを通して、子どもたちからもたくさんのことを学びました。特に第2回のワークショップでは、私たちが予想していた答え以外に気付かなかった観点からアンコンシャスバイアスを感じ、たくさん勉強になりました。第3回ではやっと対面で会うことができ、グループのみんなとかるたを全力で楽しんだことは、とてもいい思い出になりました。また、最後のお見送りは一生忘れられない光景になりました。この3回のワークショップを通じて大切な繋がりをつくることができたことを、とても嬉しく思いました。本当にありがとうございました。(野田鈴夏)

年間を通して3回もワークショップを開催する機会をいただけたことを大変嬉しく思います。毎回のワークショップで印象的だったことは、ゼミ生が期待していた以上に深い考えを持っている子や実際に体験談を話してくれた子がとても多かったということです。多文化共生を教える立場としてワークショップを行なっていたはずでしたが、小学生との対話を通すことで、ゼミ生も一緒になって多文化共生について学ぶことができました。私たち自身にとっても大変有意義で、とても楽しいワークショップとなりました。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!(田中柚希)

全3回の授業において、準備に大変苦労しましたが、どうすれば小学生に伝わるか、どうすれば楽しく学べるかを試行錯誤する時間はとても楽しいものでした。感想を受けて、これまでの全ての勉強が子どもたちの中に残っていることを感じ、嬉しく思っています。また、ワークショップ中には小学生のコメントによって私たちが気づかされることも多く、世代を超えて関わる大切さも改めて感じました。今後も、多様な人との学びの機会を大切にしていきたいです。(土橋成実)

自分は小学生3、4年生のワークショップを担当しているのですが、今回は当日の助っ人という形で参加させていただきました。まず、ワークショップ内容の面白さに驚いたのが率直な感想です。バレンタインデーの文章をやさしい日本語に変えるワークシート学習から、カルタを使って小学生が楽しみながらやさしい日本語を学ぶ光景に内容の充実度を感じました。自分自身も、小学生と学ぶことができてとても有意義な時間でした。この学びや経験をこれからのゼミ活動にも幅広く活かしていきたいです。(盛永樹)