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経済学科の教育理念

 経済学は地球上の有限な資源の分配,生産,消費活動を通して,地球上の人々の経済的厚生を高めることを目的としています。
 経済学科では,単に経済学の視点だけではなく,他学科に設置されている政治学,行政学及び社会学系科目並びにその他学際的科目も履修して,総合的視点から経済学を学びます。こうした多面的な視点で多様な経済事象を分析し,政策立案ができ,かつグローバル化の進展に対応できる教養に溢れ,創造性豊かな人材を育成することを目的としています。

「世の中を治め、人民を救う」ために

 経済とは,「経国済民」または「経世済民」の略語であると言われています。従って,経済学を学ぶということは,今日,社会で生じている様々な経済的な問題を解決していくこと,言い換えると「社会の病気」を治していくことにつながる考え方や方法を習得し,創造していくことなのです。
 ちなみに,今日のようにグローバル化が進展し,複雑化している社会では,先進工業諸国や新興工業諸国などは多くの資源を消費し,高い生活水準を享受しています。しかし,世界人口の3分の1の人々は依然として貧困に苦しんでいます。このような貧困,経済格差,そして環境,貿易の自由化といった経済的な問題を解決していくためには,経済学の知識はもちろんですが,単に経済的側面ばかりでなく,多くの国々の政治,文化的側面に関する知識の習得も必要です。
 また,日本が直面している少子高齢社会は、今後大きな経済問題をもたらします。かつての日本社会では老人は少なく,子どもの多い社会でした。経済力のある若い世代が、老人世代の面倒をみる社会でした。しかし、少子高齢社会ではこの前提がくずれ,富の分配が世代間でうまく動かなくなりつつあります。
 さらに,世界中の国々が地球環境問題に直面しています。産業革命以来,化石燃料を大量に使用してきた結果,二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量は,地球が自然浄化できる許容水準をすでに突破し,気温や海水面の上昇のみならず、地球の生態系に大きな打撃を及ぼす事態に至っています。今のところ,人間の生活を直接脅かしてはいませんが,多くの動植物が絶滅の危機に瀕しています。CO2の排出を制限しようとする取り組みは,まだ途に着いたばかりです。
 こうした「社会の病気」の多くは、日常的な私たちの経済活動の結果生じていると同時に,富の公平な分配や福祉がうまくいかない場合に発生します。つまり,経済を考え、その問題を克服することは,社会的に大きな意味をもつのです。経済学科の学生諸君には,「社会の病気」を解決する方法を真剣に考え,生み出し,実践していく人材に育って欲しいのです。

<学科長からのメッセージ>

経済学科長 武田 巧 教授
 経済学は「選択」の学問です。限りある資源を最大限有効活用し、その成果を誰とどう分配するのか。複数の選択を経て、豊かな暮らしを実現する最適解を見出します。時代のニーズは刻々と変化しており、経済学を扱う私たちが最良の選択をするには多角的な視点を養う必要があります。そのために経済学科では、基礎となるミクロ経済学とマクロ経済学、経済の成り立ちを学ぶ経済史、経済を定量的に理解するための統計的手法、経済政策など幅広く学べるようにしています。
 私は毎年、卒業生に次の言葉を贈っています。「自分自身の運命は自分自身で管理せよ。さもなければ誰か他の人があなたの運命を決めるだろう」。これはGEの元会長、ジャック・ウェルチ氏の言葉です。人生は自ら望むように描けますが、壊すこともできます。4年間を無為に過ごさず、具体的な目標を持ち、その達成に向けて努力してください。現代、そして次代では、高い専門性はもちろん、国際社会で的確な自己主張や自己表現ができる人材が求められます。本学科で培った多面的思考と、自らの考えで最良の選択肢を選び取る力を、存分に発揮してください。