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政治経済学部

【政治経済学部】海野素央ゼミナールがドナルド・トランプ米大統領の関税措置及び日韓の経済連携の可能性に関して、駐日大韓民国大使館にヒアリング調査を行いました

2025年07月25日
明治大学 政治経済学部事務室

海野ゼミナールは6月11日、ドナルド・トランプ米大統領の関税措置及び日韓の経済連携の可能性に関して、駐日大韓民国大使館で産業通商官A氏を対象に約1時間、ヒアリング調査を実施した。使用言語は、日本語と韓国語であった。

まず、A氏は、米国との関税交渉について、韓国は政権交代の時期であったので、「遅延戦術(delay tactics)」の外交交渉を行ったと述べた。韓国は、新政権が発足するにあたり、政権移行の期間を戦略的に利用して、交渉を一時的に停滞させ、自国の外交方針を慎重に再検討する時間を確保した。政治的空白が、交渉の準備を行うための「時間稼ぎ」になったのである。

この「戦略的な時間の使い方」により、韓国は対話をより計画的で主体的に進めることが可能となり、米国の圧力に屈するのではなく、自らの外交アジェンダに基づいて交渉を主導できた。

このような外交戦略により、超大国でなくても、交渉のタイミングやプロセスを調整することで、外交において影響を与えることができるのである。経済的・軍事的パワーに依存するのではなく、「タイミング」と「戦略的判断」によって外交を行うことの重要性を学ぶ機会になった。

次に、日韓の経済連携の可能性である。A氏によれば、日韓の経済連携には、「協力と競争が共存」する。例えば、半導体や電気自動車(EV)、鉄鋼等の分野では両国の競争は回避できないが、研究開発(R&D)及び先端技術の分野では協力を進めていると言う。

このような姿勢は、日韓関係が、従来の「敵か味方か」の二元的な思考から脱却し、利害に基づいた選択的な協力関係へと移行していることを示している。今回のヒアリング調査において、両国が競争と相互利益のバランスを柔軟に取りながら、関係を構築していることが明らかになった(海野ゼミナール3年生、伊藤愛佳、大房陽向、岡野凪沙、イネス・コルヌヴァン、坂野迪浩、ソン・ボムグン)。