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理工学研究科

【理工学研究科 物理学専攻】博士前期課程2年・横井 駿さんの論文が国際学術雑誌The Journal of Physical Chemistry B(アメリカ化学会(ACS)発行)のSupplementary Coverとして選出されました

2021年05月15日
明治大学 理工学部事務室

生物物理第一研究室(光武 亜代理 准教授主宰)に在籍中の理工学研究科物理学専攻博士前期課程2年の横井 駿さんが筆頭著者となった論文がアメリカ化学会(ACS)発行の国際学術雑誌 The Journal of Physical Chemistry B, 2021年第17版のSupplementary Coverとして選出されました。

研究内容と説明:
本研究では、Gタンパク質共役受容体(GPCRs)であるオレキシン2受容体をターゲットとしてシミュレーション手法を用いた研究を行いました。GPCRsは様々な生体現象に関与しているため、創薬ターゲットとして注目されています。効果の高い薬剤の開発には、構造・機能の解明だけでなく、原子レベルでタンパク質の構造変化や機能を調べることが非常に重要です。光武研究室では、原子レベルでの構造変化を調べる手法のひとつである分子シミュレーションを用いた、タンパク質の機能・ダイナミクスの予測や、シミュレーションデータの解析手法の開発を行っています。

今回、オレキシン2受容体の野生型・変異体の分子シミュレーションを行うことで、GPCRsの活性・不活性状態を定量的に評価するための特徴量を抽出し、活性化の際に生じる局所的な構造変化が明らかになりました。まず、不活性状態のオレキシン2受容体の野生型および変異体のマイクロ秒スケールの分子シミュレーションを20本以上行いました。それらのシミュレーションの中で、恒常活性変異体であるV309Y変異体において、GPCRsの活性化の際に共通に見られる特徴的な構造変化が生じました。そこで、V309Y変異体のシミュレーションに注目し、局所的な構造変化を抽出できる研究室独自の解析手法である緩和モード解析を用いて、X(3.46)とY(7.53)の原子間距離によりGPCRsの活性・不活性状態を定量的に評価できることを明らかにし、活性化の際に特定のアミノ酸残基 (M305(6.36)とL367(7.56)) の位置関係の入れ替わりが重要であることも明らかにしました。

該当論文は、以上の研究成果を取りまとめたものであり、Supplementary Coverでは、オレキシン2受容体のV309Y変異体で生じた特徴的な構造変化の概略を描いています。

該当論文:https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jpcb.0c10985
Supplementary Cover:https://pubs.acs.org/pb-assets/images/_journalCovers/jpcbfk/jpcbfk_v125i017-2.jpg?0.6860846548177364
Supplementary Cover掲載号:https://pubs.acs.org/toc/jpcbfk/125/17
光武研ホームページ:https://www.biophys1st-lab-meiji.org/

明治大学大学院