理工学研究科応用化学専攻博士前期課程2年の田中菜々子さん(生体関連材料研究室・相澤守教授)が、11月5日に日本大学理工学部(駿河台キャンパス)で開催された第3回酸素酸塩材料科学研究会において、「優秀講演賞」を受賞しました。
生体関連材料研究室では、生体骨を模倣した新しいバイオセラミックスの創製を目指し、従来の人工骨の骨形成能を超える次世代型人工骨の創製とその生命機能発現メカニズムの解明に取り組んでいます。
本研究では、欠陥構造を有する生体骨中のアパタイトに倣い、「窒素ドープ法」により欠陥を導入した水酸アパタイト(HAp)多孔質セラミックスを作製しました。窒素ドープ法は光触媒の分野で欠陥導入に活用されている方法です。作製した窒素ドープ水酸アパタイト多孔質セラミックスの生体内反応をラット頭蓋冠にインプラントして調査したところ、このセラミックスは骨リモデリングに適合した人工骨材料であることがわかりました。特に、窒素ドープの処理は骨分化能の向上に寄与していることが示唆され、このセラミックスは次世代の人工骨素材として期待できます。
今回、上記の研究成果がみとめられ、「優秀講演賞」の受賞につながりました(対象者16名中3名が受賞)。日本セラミックス協会「酸素酸塩材料科学研究会」は、日本セラミックス協会の研究会のひとつであり、酸素酸塩材料に関する研究の発展を目的にして2019年に発足し、活動を継続しています。
なお、この研究は、本学応用化学科 渡邊友亮教授との共同研究であり、本学「生命機能マテリアル国際インスティテュート」の一環として実施されました。
受賞名 : 優秀講演賞
学会名:第3回酸素酸塩材料科学研究会
発表者:〇田中菜々子・金子奈央・新田真由・村上悠次・渡邉友亮・相澤 守
演 題:窒素ドープ水酸アパタイト多孔質セラミックスの作製とラット頭蓋冠欠損モデルによる in vivo 評価