理工学研究科応用化学専攻博士後期課程3年の鈴木来さん(生体関連情報研究室・相澤守教授)が、2022年12月11日~13日に富山国際会議場で開催された20th Asian BioCeramics Symposium において、「ABC Award」を受賞しました。
生体関連材料研究室では、生体骨中の主要な無機成分である水酸アパタイト(HAp)を用いた骨再生に関する研究に取り組んでいます。当研究室では、水酸アパタイトの異方性制御技術を有しています。異方性とは、方向によって異なる性質を持つことであり、HApはa面とc面という異なる性質を持つ結晶面を有しています。これまでの研究から、HApのa面を多く露出させることで、HApの溶解性が増すということを明らかにしていました。しかしながら、その知見が骨組織の吸収を司る「破骨細胞」にどのような影響を与えるのかは未解明でした。
そこで、本研究では、a面を多く露出させたHApセラミックスを作製し、その表面上で破骨細胞を培養し、異方性制御水酸アパタイトセラミックスが破骨細胞へ与える影響を調査しました。その結果、a面を多く露出させたHApセラミックスが、異方性制御をしていないHApセラミックスに比べて、破骨細胞による吸収を受けやすいことを明らかにし、さらにセラミックスから溶出したイオンが破骨細胞の活性に影響を及ぼすことを明らかにしました。
上記の研究成果が認められ、今回の「ABC Award」の受賞につながりました。ABCはアジアを対象としたバイオセラミックスの国際会議であり、本年で20回目を迎えます。COVID-19感染拡大の影響で、3年ぶりの現地開催(一部オンライン開催を含むハイブリッド形態)となりました。なお、この研究は、明治大学「生命機能マテリアル国際インスティテュート」の一環として実施されました。
学会名:20th Asian BioCeramics Symposium (ABC2022)
セッション名:Oral Presentation (口頭発表)
受賞名:ABC Award
発表者:〇鈴木 来、大沼恵里香、 亀田優佳、 南澤宏瑚、 本田みちよ、 吉村英恭、相澤 守
演 題:Relationship Between Crystallographic Anisotropy of Hydroxyapatite and Osteoclast Activity (水酸アパタイトの結晶異方性と破骨細胞活性との関係性)