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理工学研究科

【理工学研究科 応用化学専攻】博士前期課程2年の円城涼美さん(生体関連材料研究室)が、20th Asian BioCeramics SymposiumでABC Awardを授与されました

2023年01月11日
明治大学 理工学部事務室

  2022年12月11日~13日に富山国際会議場(富山県富山市)で開催された20th Asian BioCeramics Symposiumにおいて、理工学研究科応用化学専攻博士前期課程2年の円城涼美さんのポスター発表が、「ABC Award」を受賞しました。

 生体関連材料研究室(相澤守教授)では、手術後の感染などを未然に防ぐことができる「抗菌性インプラント」の研究に取り組んでいます。

 近年の医療業界では、人工関節などをはじめとするインプラント材が広く普及していますが、それらの使用後の術後感染症は重篤な合併症の1つであり、近年大きな問題となっています。そこで、生体関連材料研究室では、耐感染性と高い骨形成能を兼ね備えた「高付加価値型次世代人工骨」の開発に取り組んでいます。

 本研究では、当研究室のオリジナル素材である「アパタイトファイバー」を出発原料とした気孔率70%の多孔質水酸アパタイトセラミックスに、イノシトールリン酸の金属キレート能を用いて、「銀イオン」と「亜鉛イオン」の二種の金属イオンを固定化し、「二種イオン固定化多孔質水酸アパタイトセラミックス」を作製しました。銀イオンは高い抗菌性を有し、亜鉛イオンは抗菌性に加えて、骨形成を促進する力を有することが報告されています。本研究で作製した二種イオン固定化多孔質水酸アパタイトセラミックスの抗菌性ならびに骨形成能を調査したところ、当該アパタイトセラミックスは抗菌性を発現し、さらに金属イオンを固定化していないサンプルと比較して、優れた細胞増殖性や高い骨分化能(高いアルカリフォスファターゼ活性)を示すことがわかりました。したがって、本研究で作製した二種イオン固定化多孔質水酸アパタイトセラミックスは耐感染性と高い骨形成能を兼ね備えた「高付加価値型次世代人工骨」としての応用が期待できます。

 上記の研究成果が認められ、今回の円城さんのABC Award受賞に繋がりました (対象者18名中4名が受賞)。なお、日本セラミックス協会生体関連材料部会は生体関連材料に関する合成・評価・物性を研究対象とした部会であり、アジアを対象としたバイオセラミックスの国際会議であるAsian BioCeramics Symposiumは今回で20回目を数えます。なお、この研究は明治大学「生命機能マテリアル国際インスティテュート」の一環として実施されました。

受賞名:ABC Award
学会名:20th Asian BioCeramics Symposium (ABC2022)
セッション名:Poster Session (ポスター発表)
発表者:〇円城涼美, 鈴木 来, 相澤 守 
演 題: Addition of Multiple Functions to Porous Hydroxyapatite Ceramics with Osteoinductivity by Immobilizing Two Types of Metal Ions (二種類の金属イオンの固定化による骨誘導能を備えた多孔質水酸アパタイトセラミックスへの多機能性付与)
明治大学大学院