Go Forward

理工学研究科

【理工学研究科 応用化学専攻】博士前期課程2年の朱星雨さんが、Biomaterials International 2023でBest Poster Paper Awardを受賞しました

2023年09月15日
明治大学 理工学部事務室

  理工学研究科応用化学専攻博士前期課程2年の朱星雨さん(生体関連材料研究室)が、Biomaterials International 2023(7月30日~8月3日 北海道大学開催)において、Best Poster Paper Awardを受賞しました。

  生体関連材料研究室(相澤守教授)では、手術後の感染などを未然に防ぐことができる「抗菌性インプラント」の研究に取り組んでいます。近年、口腔外科領域では、インプラント材が広く普及していますが、それらの使用経過に伴うインプラント周囲炎などの疾病が課題となっています。そこで、生体関連材料研究室では、耐感染性と高い軟組織結合性を兼ね備えた歯科用インプラントの開発に取り組んでいます。

 本研究では、当研究室独自の手法で抗菌性インプラントを作製しました。まず、チタン金属に骨結合性の高い水酸アパタイトをコーティングし、ついでイノシトールリン酸の金属キレート能を用いて、抗菌性金属イオンである「銀イオン」を固定化しました。さらに、その上に塩基性線維芽細胞増殖因子を担持させ、「細菌感染を防止する口腔外科用インプラント」を作製しました。塩基性線維芽細胞増殖因子は、インプラントと軟組織の結合性を強化する機能を有することが知られています。本研究で作製した口腔外科用インプラントの抗菌性を調査したところ、当該インプラントは抗菌性を発現し、金属イオンを固定化していないサンプルと比較して、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の発育を阻止することがわかりました。また、その抗菌性は、塩基性線維芽細胞増殖因子を担持しても低下しないことも明らかにしました。これらの知見により、本研究で開発した抗菌性インプラントは感染症への抑制効果が期待できます。

 上記の研究成果が認められ、Biomaterials International 2023にてBest Poster Paper Awardを受賞しました(101件中15件が受賞)。Biomaterials International 2023 では、生物学・生理学・材料科学・物理学・化学・工学・臨床科学など様々な科学分野の国際的な研究コミュニティが一堂に会し、バイオマテリアルに関する技術と方法論について議論されました。

 なお、この研究は、慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室との共同研究であり、明治大学生命機能マテリアル国際インスティテュートの研究課題の一つとして実施されました。


受賞名: Best Poster Paper Award
学会名: Biomaterials International 2023
発表者: ○朱 星雨・鈴木 来・大沼恵里香・円城涼美・宮下英高・相馬智也・中川種昭・森川 暁・相澤 守
演 題: Loading of basic fibroblast growth factor on apatite-coated titanium with anti-bacterial property and its material properties
明治大学大学院