Go Forward

理工学研究科

【理工学研究科・応用化学専攻】安藤寛喜さん(博士後期課程3年)が、筆頭著者となった論文が、国際学術雑誌 Adv. Synth. Catal. 、2023年第24版のカバーピクチャーとして採用されました

2023年11月20日
明治大学 理工学部事務室

 精密有機反応制御研究室(土本晃久専任教授)に在籍中の理工学研究科応用化学専攻博士後期課程の安藤寛喜さんが筆頭著者となった論文が、国際学術雑誌 Adv. Synth. Catal. (impact factor = 5.376)、2023年第24版のカバーピクチャーとして採用されました。なお、この研究は、明治大学理工学部応用化学科 深澤倫子教授の研究グループと関西学院大学生命環境学部環境応用化学科 岡林識起講師との共同研究です。研究に参加してくださった皆様にこの場を借りて改めて御礼申し上げます。
 
 ケイ素は、地球の地殻中に酸素に次いで豊富に存在する元素であり、持続可能な化学産業の発展には、ケイ素を含む原料を活用しての方法論や技術の開発は極めて重要な位置付けにあります。炭素と炭素の間に三重結合をもつアルキン(C≡C)にヒドロシラン(H-Si)を付加させると、さまざまな分野への応用が可能なアルケニルシラン(HC=CSi)が原子効率100%(副生生物を伴わない、ゴミの出ない反応)で得られます。この反応はアルキンのヒドロシリル化と言われますが、これまで、Pt, Rh, Pd といった、希少で高価な金属を触媒に用いて主に実施されてきました。これに対して 今回土本研究室では、高価な金属を触媒としては一切使うことなく、四級アンモニウム塩という、有機化合物が同反応の触媒として機能することを世界で初めて明らかにしました。この触媒は、2-ヨードプロパンと DABCO(1,4-Diazabicyclo[2.2.2]octane,いわゆる窒素化合物としてのアミン誘導体です)から反応系内で混ぜるだけで出来上がるので、事前の調製も不要な点で、反応の実施も極めて簡便です。この触媒を利用すれば、さまざまな基質の組み合わせにおいて一連のアルケニルシランを高収率、高立体選択的に合成することが可能です。加えての魅力的な特徴として、この触媒は、反応後の生成物を反応容器内から抽出し,触媒を反応容器内に残した状態で基質,溶媒を再び加えれば、何度でも反応を進行させてくれる,再利用が可能な夢のような触媒です。

 該当論文は、以上の研究成果を取りまとめたものであり、表紙絵は、その様子を画像にしたものです。画像内では、2-ヨードプロパンと DABCO から出来上がる有機化合物としての触媒が、アルキンのヒドロシリル化を力強く触媒している世界が描かれています。

明治大学大学院