Go Forward
2025年09月16日
明治大学 理工学部事務室
理工学研究科応用化学専攻博士前期課程2年の小林愛莉(こばやし あいり)さん(永井一清研究室)が、東京海洋大学越中島キャンパスで2025年8月28日~29日に開催された日本包装学会第34回年次大会にて学生ポスター賞を受賞しました。発表題目は「キトサン酢酸塩膜の水蒸気の透過性、溶解性及び拡散性」であり、国内外からよせられた対象論文の中から選ばれました。
現在、プラスチックの主原料である化石資源の枯渇が問題となっています。そこで、化石資源の代替として非枯渇性資源であるバイオマス資源の利用に注目が集まっており、特に食材と工業原料との配分バランスが議論されています。私たちは天然高分子である多糖の中でもカニやエビの甲羅といった非可食部分から採取可能なキチンを脱アセチル化することで得られるキトサンに着目しています。
キトサンは水に不要ですが、酢酸を加えるとキトサンは塩となり水に容易に溶けるようになります。また一般的に、水溶性高分子は水蒸気をあてただけで材料の形が変形してしまいます。しかし小林さんはこの常識にとらわれずに研究を進め、特定のキトサン塩は水に可溶でありながら水蒸気に対して耐久性がありかつ水蒸気バリア性があることを発見し、このバリア性メカニズムも解明しました。
本審査では、キトサンと酸水溶液という地球環境に悪影響を与えず人や動植物に安全な物質で包装材料を設計し、実際にその特性を実験で証明した点が高く評価されました。