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2025年08月21日
明治大学 理工学部事務室
理工学研究科応用化学専攻の新井 鉄平さん(博士前期課程2年・本多貴之研究室)の研究発表が、「日本文化財科学会第42回大会」(日本文化財科学会主催)で『ポスター賞』を受賞しました。
受賞者:新井 鉄平(博士前期課程2年・本多貴之研究室)
受賞名:ポスター賞
学会名:日本文化財科学会第42回大会
開催日:2025年7月5日(土)~6日(日)
開催地:九州大学
発表題目:桐油と豚血を用いた伝世資料の科学分析と再現
発表者:○新井 鉄平、 本多 貴之
研究内容:元来、外観が鮮やかな赤色で彩られ、沈金(塗装面に彫りを入れ、その部分に金粉を埋め込む技法)や箔絵(金箔を絵柄の形に切り抜き貼り付ける技法)で加飾された書見台は、漆液に水銀朱(硫化水銀)を添加した「朱漆」で製作されていたと考えられてきました。ところが、化学分析の結果、漆が使用されていない例が二点発見されました。
本発表は、その「漆を用いない赤色塗装」の分析結果を基に、桐油と豚血を利用して再現を試み、成功した初めての事例です。従来、桐油を用いた塗装は沈金のような彫り加工が困難とされていましたが、水銀朱等の添加量を調整することで、彫りを可能にする塗膜の作成に成功しました。
分析結果に基づく精緻な検討により、過去の製作技法の再現という挑戦的な研究を成し遂げた点が高く評価されましたと考えます。