米国食肉輸出連合(USMEF)のフィリップ・セング会長が11月28日、農学部食料環境政策学科の農業マスコミ論特講の授業で、米国有数の国際農産物マーケティング団体トップとしての経験を特別講義した。日本を含めた海外市場で米国産の牛肉や豚肉を売り込む際、業界団体などとのきめ細かい調整のほか、消費者がどのような商品を求めているのかを先取りすることが必要だと強調した。
米アイオワ州の農家の出身で30年間USMEFに勤務した。東京駐在の経験も長いセング会長は、日本語を交えながら「日本市場は売り込むには厳しい面もあるが、いったん参入できれば他市場の開拓にも役立つ」「牛肉などの安全性は国際基準を基本にするべきだ」などと話した。国内で議論が進む環太平洋経済連携協定(TPP)に関連し、「保護政策ではなく販売促進に転換したほうが良い」と指摘し、自由貿易の必要性を説いた。
学生からは「消費者に受け入れられるためにどのような工夫をしているのか」「日本の農産物を輸出する際の注意点は何か」などの質問が相次いだ。
USMEFによる日本市場参入の歴史は、国際ビジネスの面では伝統的な成功物語の一つ。セング会長は米ハーバード大学大学院でも客員講師としてケーススタディの講義をした経験がある。今回の明治大学での講義は、アジアで初めてのものとなった。
担当教員:山田優客員教授