日本農学進歩賞は、農林水産業及びその関連産業の発展に資するために、農学の進歩に顕著な貢献をした若手研究者を顕彰する公益財団法人農学会の事業です。授賞式及び受賞講演会は、11月22日に東京大学農学部弥生講堂で行われました。藤茂雄(とう しげお)博士は、農学研究科生命科学専攻の第1期生として博士の学位を取得し、カナダのトロント大学及び名古屋大学の研究員を経て、現在助教の任に就いています。
受賞の業績は、「根寄生雑草ストライガ防除に向けたストリゴラクトン受容体の研究」です。植物に寄生する植物は、ときに作物の生産に壊滅的な打撃を与えます。主にアフリカで猛威を振るっている寄生雑草ストライガの種子は、宿主となる作物の根から分泌される植物ホルモン、ストリゴラクトンを感知して発芽します。受賞対象となった研究で、藤博士はストライガのストリゴラクトン受容体を発見し、その働きを明らかにしています。藤博士の発見は、微小で大量の種子をばらまき、防除が困難なため「魔女の雑草」と呼ばれる寄生雑草に立ち向かう研究・技術開発に重要な手がかりを与えています。
なお、2003年春に農学部農学科を卒業した中野亮博士(農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門・主任研究員)も、「チョウ目害虫の超音波を介したコミュニケーションと防除技術」の業績で受賞されており、今年度の受賞者10名には、本学出身者が2名選ばれています。
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日本農学進歩賞
http://www.nougaku.jp/award/award1.2019.html