~気候変動時代の生物適応を探る国際共同研究に挑戦~
明治大学農学部農学科の新屋良治准教授が、生命科学分野の国際的研究助成制度「Human Frontier Science Program(HFSP)2025 Research Grant」を受賞しました。
HFSPは、革新性と挑戦性に富んだ国際共同研究を支援する制度で、過去にはノーベル賞受賞者も多数輩出しており、ライフサイエンス分野における世界最高峰の国際グラントの一つとして広く認知されています。
2025年度は世界中から780件の申請があり、そのうち30件(採択率約3.8%)が受賞となりました(プログラムグラント25件、アーリーキャリアグラント5件)。
新屋准教授は、米国ロックフェラー大学のCornelia Bargmann教授、フランス・コートダジュール大学のChristian Braendle博士、オーストラリア・シドニー大学のElizabeth New教授とともに、研究課題「Behavioral adaptation to arsenic-rich environments(極限環境下での生存戦略としての行動変化)」に取り組みます。
本研究では、気候変動により拡大するヒ素など有害元素に汚染された極限環境に適応した動物に注目し、解毒や生存戦略のメカニズムを探ります。特に、カリフォルニア州モノ湖の高ヒ素環境から分離された線虫をモデルに、環境・神経系・遺伝子・行動の相互作用を多角的に解析します。これにより、生物・生態系における環境レジリエンス(環境変化への適応力)の理解に貢献することが期待されます。
本プロジェクトには、年間約50万米ドルの研究費が3年間にわたり助成され、線虫学、生態学、化学、遺伝学、神経科学、進化生物学の専門家による学際的な国際チームで遂行されます。