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農学部

【食料環境政策学科】海外農業体験(モンゴル国)を実施しました

2025年09月17日
明治大学 農学部事務室

写真1:遊牧民のゲルで生業や文化について学ぶ写真1:遊牧民のゲルで生業や文化について学ぶ

写真2:遊牧民のゲルで乳製品や羊肉を試食写真2:遊牧民のゲルで乳製品や羊肉を試食

写真3:搾乳を見学写真3:搾乳を見学

写真4:乗馬体験写真4:乗馬体験

写真5:革靴工場(CHIG shoe’s factory)を訪問写真5:革靴工場(CHIG shoe’s factory)を訪問

写真6:モンゴル国立農業大学(Mongolian University of Life Sciences)を訪問写真6:モンゴル国立農業大学(Mongolian University of Life Sciences)を訪問

写真7:MON-SHEPについて学ぶ写真7:MON-SHEPについて学ぶ

写真8:JICAモンゴル事務所を訪問写真8:JICAモンゴル事務所を訪問

食料環境政策学科では、2024年度に引き続き2025年度も、モンゴル国で2年生の実習科目である「海外農業体験」を実施しました。
本学科では、2009年度から2年次学生を対象に「海外農業体験」という実習科目を開講しています。この科目は、実際に海外で農作業を体験したり、現地の農家や農業企業の方々と交流したりすることを通じて、海外の農業や社会、経済に関する理解を深めることを目的としています。

今年度の実習は、教員2名の引率の下、14名の学生が参加し、6月6日~12日に、首都ウランバートル市およびその周辺地域で行いました。主な訪問先は、遊牧民、博物館、製革工場や革靴工場(CHIG shoe’s factory)、国際協力機構(JICA)モンゴル事務所、食料・農牧業・軽工業研究・開発センター(Research and Development Center for Food, Agriculture and Light Industry)内のMON-SHEP事務所、モンゴル国立農業大学(Mongolian University of Life Sciences)および同大学付属農場アグロパーク(AGRO PARK)などです。

遊牧民を訪問し、生業や文化、搾乳や放牧の見学、乗馬体験などをしました(写真1~4)。また、博物館を訪問し、モンゴルの歴史についても学びました。さらに、製革工場や革靴工場を訪問し、モンゴルの皮革加工(軽工業)事情について学びました(写真5)。CHIG shoe’s factory の責任者によれば、モンゴルでは、飼育家畜の約3割が秋から冬にかけてと畜され、その皮革が製革工場や革靴工場などの原料になるとのことです。JICAモンゴル事務所によれば、モンゴルでは、2024年末で5765万頭の家畜が飼育されており、その内訳は羊が2450万頭、山羊が2290万頭、牛が507万頭、馬が470万頭、駱駝が48万頭とされます。

モンゴル国立農業大学(写真6)の付属農場アグロパークでは、園芸作物について学びました。アグロパークは同大学の近くにあり、日光温室、ガラスハウスやビニールハウス、貯水設備等が設置され、野菜や花卉等を中心に研究が行われています。モンゴルは平均気温が低く、作物の栽培可能な時期が短いため、ほとんどの野菜は主に中国からの輸入に頼っています。モンゴル政府は、2010年以降、野菜の自給率の向上に力を入れています。
JICAがモンゴルで実施している技術協力プロジェクト「市場志向型農業推進プロジェクト(The Project for Promoting the Market-oriented Agriculture)」 (MON-SHEP)についても学びました(写真7~8)。JICAモンゴル事務所は、モンゴル政府(食料・農牧業・軽工業省)と協力して、「SHEP(Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion)」アプローチに基づく一連の活動を通じて、グリーンハウスや貯蔵庫など作期を延ばすための施設および寒さ対策のための設備も活用した、計画的な野菜生産・普及方法等を中小規模の農家や農業普及員に技術移転し、国産の野菜生産の促進に資する市場志向型農業推進のための効果的な仕組みの確立を図っています(下記のMON-SHEP関連ウェブサイト参照)。

以下は、参加学生のレポートに書かれていた感想です。
「JICAや協力隊の方々の話から、国際協力というものの現実にも触れることができた。ただ建物をつくる、技術を教えるといった一方通行の支援ではなく、現地の人々が『自分たちの問題』として課題に気づき、動き出すまでを支える。そんな丁寧な関わり方が持続可能な支援には必要だということを改めて知った。SHEPの話は特に印象的で、農業の支援が『技術』だけでなく『意識』にも働きかけていくものだという視点が新鮮だった」。学生のレポートからも、効果の高い実習であったことが読み取れます。関係者のみなさまに、あらためて心より御礼申し上げます。

・海外農業体験関連ウェブサイト
https://www.meiji.ac.jp/agri/info/2024/mkmht000001pey9t.html
・MON-SHEP関連ウェブサイト
https://www.jica.go.jp/oda/project/202207609/
・JICA
https://www.jica.go.jp/information/press/2023/20230131_30.html