文学部紀要
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明大アジア史専攻の教育研究の体制
専任の教員は、中国・東アジアの古代・中世史から近現代史まで、また東は朝鮮・韓国史から西はイスラム・トルコの歴史まで、はたまた中央ユーラシアにまたがるチンギスカンのモンゴル帝国の歴史までをカバーします。いずれも第一線の専門家で、他の大学にはない充実ぶりです。
加えて、多彩な兼任講師の先生方が授業を担当しています。図書館の蔵書や情報検索の態勢もよく整っています。アジア史専攻の学生は、アジア史のすべての分野の中から研究テーマを自由に選び、思う存分勉強することができます。その中で学生たちは、広くアジア各地の歴史と文化を学びつつ、特定の地域・時代を選択して史料の読解力や多面的に考察する思考力を養い、それを卒業論文に結実させていきます。そのため1年次より演習(ゼミ形式)授業があって、各学年3~4のゼミに分かれ、文献・史料の読解や研究発表をおこないます。そして3年次に、学生各人の関心にもとづいて地域・時代を選択して卒業論文の準備に着手し、4年次に完成させます。各ゼミでは、少人数のメリットを生かして教員から個人指導に近いかたちで専門的な指導を受け、史料から歴史を読み解くおもしろさを実感できるでしょう。その間、留学をはじめ国内外に出ていく人も多くいます。
明大アジア史専攻の風景
私たちの大学は東京の中心という絶好の場所にあります。この利点を生かし、東京国立博物館などの特別展の参観や、東洋学の中心である東洋文庫の見学会、東京ジャーミー(イスラムの礼拝堂)の見学会、あるいは日本一の古書の町である神田古書店街の散策など、様々な催しを行っています。 [ アジア史専攻のホームページ ]
アジア史専攻は外国史ということもあり、外国語習得も盛んで、中国語・朝鮮語・欧米諸言語の他、アラビア語が講義として学べる上、必要に応じてトルコ語・モンゴル語・満洲語なども学べるようにしています。
卒業後の進路—多様化する進路
私たちの見るところでは、入学後の早くからきちんと目標を立て、日々勉学にいそしんできた人たちがよい結果を出しています。企業の側は学部名をはじめとする表面的な事柄よりも、じっくり本人の資質や勉学ぶりを確かめて採用するからです。アジアを勉強することは、今最も先進的な生き方だと思います。そのような自信を持って就職活動に臨むことを私たちは求めています。
従来、文学部を出ると学校の教員や公務員、あるいはマスコミ関係を目指すのが定番でしたが、私たちはそのように進路を狭めることはないと考えます。たんなる実務性だけではなく、幅広い教養と専門性を重視する文学部こそが、これから必要とされる教養ある社会人を育てる学部です。積極的に社会の諸分野に可能性を追い求めてほしいと期待します。アジア史専攻は、多様な進路を切り開く力を持った学生を育成しつづけます。
卒業後の進路—大学院進学
今日、日本社会では高度教養人の育成が新たな課題となっています。厳しい国際競争を勝ち抜くためには、高度な学問を身につけた人材が必要だからです。アジア史専攻でも、学部4年間で学んだものをさらに深めたいと希望して、あるいは教員資格や学芸員・図書館司書資格を取得するために、大学院博士前期課程のアジア史専修に進学する人がいます。博士前期課程を修了した後、さらに研究者を目指して博士後期課程に進み、より専門的な研究に邁進する人もいます。
毎年、大学院アジア史専修では十数名の院生が在籍して研究に励んでいますが、そのなかには他大学出身者や留学生も含まれています。大学院では各種の奨学金が設けられているので、希望すればほぼ全員に何らかの奨学金が支給されるはずです。また、院生専用の研究室がグローバルフロントに設けられていて、院生の皆さんが落ちついて研究できる環境が整っています。
アジア史研究室は『明大アジア史論集』という学術雑誌を毎年発行していて、すでに26号を数えます。本誌には院生が研究成果を発表し、学部生の優秀な卒論が掲載されることもあります。院生はこのほかに学内の『文学研究論集』、『駿台史学』や学外の学術雑誌に投稿して、業績を蓄積してゆくことになります。
アジア史専修では、専任教員のほか国内外から第一線の研究者を講師に招いて充実したカリキュラムを組み、留学や外国との交流の機会を多く作っています。たとえば2016年度には、長年専攻と交流のある北京師範大学より王東平教授をお招きし、講演会を行いました。2017年度にも、南京大学より張生教授をお招きし、中国近現代史に関する講演会・シンポジウムを行いました。こうしたことを積み重ねることによって、国際的に通用する優秀な人材を送り出したいと考えています。
(参考:大学院入試日、博士前期課程は9月中旬と2月下旬の2回。博士後期課程は2月下旬の1回)