Go Forward

卒業生の声(職業別)

卒業生の声1 (現在の職業:大学図書館司書)



私が文学部の数ある専攻の中から日本文学専攻を選んだのは、元々本が好きで、「自分が生まれてから今まで暮らしている日本の文学のことをもっと知りたい」と思ったからでした。ある時、『源氏物語』や『枕草子』、夏目漱石や太宰治など、中学や高校の国語の授業で部分的に習ったけれど、その全てを知っているわけではないということに気付き、日本に生きる人間として、せめて何か1つだけでも日本の文学に関することをしっかりと勉強したいと考え、日本文学専攻を選びました。
文学を学ぶということは、一見地味に思えるかもしれません。ですが、概要や生い立ちを知っている古典作品や近世の文豪でも、初めて知ること、考えることが多く、大学での勉強は毎日が刺激的でした。同じ作品や著者であっても、何人もの研究者が様々な視点で考察していて、それを知ることで多角的に作品を見ることができるようになるのも文学研究の大きな魅力の1つであり、「文学とはこんなにも鮮やかな世界だったのか」と目から鱗が落ちる思いでした。
そんな世界に魅せられて、私は卒業後の進路に図書館を選びました。文学を身近に感じることができる職業であり、過去の研究を蓄積し未来の研究へ役立てるお手伝いができることがとても素敵だと思ったからです。
皆さんも、たくさんの文学とそれに関する様々な知見に触れ、自分の未来に活かしてください。
卒業生の声2 (現在の職業:高校「国語」教員)



私の大学生活は、自分の「好き」を大切にできた4年間でした。
古典(源氏物語)が好きで選択した専攻でしたが、大学に入学してから、他にも多くの「好き」に出会いました。現代文学で村上春樹の作品を読んだり、音声学で方言について調べたり、様々なものに魅力を感じ、多くの講義を受けました。興味のなかった分野も「好き」だと思えたのは、日本文学専攻が「好き」を語る集まりであったからだと思います。講義を聞いていると、先生方はそれぞれの分野を心から好きなのだと、感じられることが多くあります。また周囲の友人たちも好きなものについて、生き生きと話してくれました。そして文学の中でも、作者が好きなものを語り、自分の主張を読者に伝えています。私は、人前でも本の中でも、堂々と語る人々の姿を日本文学専攻でずっと見てきました。そして、好きなものの魅力を伝えることができるように、私もなりたいと思いました。その思いは、私の就職活動にも大きく影響し、「好き」を伝えられる職業に就きたいという思いから、現在、私は高校教員として国語を教えています。「楽しそうに授業をしているから、楽しい気がしてくる」と生徒から言われた時、日本文学を学んできてよかったと、心から思いました。みなさんが「好き」を見つけて、日本文学専攻に入ったならば、その「好き」を大切にしてください。でももし、自分の「好き」がわからないなら、まずは「好き」を語れる人の話をたくさん聞いてみてください。日本文学専攻は、その「好き」を見つけられる場所です。
卒業生の声3 (現在の職業:金融業)



『日本文学専攻で学んだことが社会に出てどう役立っているか』、改めて考えると、とても難しいです。現在、金融業で働いていますが、仕事上、出身学部・専攻を意識する場面は無いからです。ただ逆に、日本文学専攻だから不利を被ったこともありません。
仕事は働き始めてから0から学んでゆくもので、必要なことはやる気と一般常識程度で、あとはどの学部・専攻を卒業してもさほど関係ないのではと思います。
だからこそ私は大学時代、自分の興味あることを存分に学べる日本文学専攻を選んで本当に良かったと思っています。もともと文学や日本語に興味があり、より深く学びたいという気持ちだけで決めましたが、期待通り、授業はどれも面白いものでしたし、卒論では昔から好きだった夏目漱石について、満足いくまで研究する機会を与えて頂きました。
社会に出ると、どうしても生活や仕事に追われてしまうため、心から興味のあることに打ち込める大学の四年間は、人生においてとても貴重な時間だと思います。ですから、就職の際の有利・不利は気にせず、自分の好きな分野を選べば良いと思います。ちなみに冒頭に揚げた『社会に出て役立ったこと』ですが、納得行くまで調べたり考えたりする癖、演習を通じて得た他者の多様な意見を受け入れる考え方など、考えれば沢山あるようです。何より卒業しても続く、同じ日文専攻を選んだ、考え方の近い友人達を得たことは一番の収穫だったのかなと思います。 かっこいいことは何も言えませんが、何かのご参考になればよいなと思います。