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2023学部ガイド座談会

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時代の風を受けて変革をうながされる大学教育

——コロナ禍のいま、大学教育はどうあるべきでしょうか。先生方のご意見をお聞かせください。

大黒  Zoomを使うようになって実感したのは、学生の授業へのコミット度がわかるようになったということです。画面をオフにしてほかのことをしていたり、良い悪いは別にして、マルチタスクが当たり前の世の中になりつつあります。これにより、教員も授業の体制を変えざるを得なくなってきていると思います。同じことが大学という組織にもいえて、これまではキャンパスの充実度を図ってきましたが、今後はコンテンツやソフトウェアを充実させていくことも必要でしょう。

清原  大学の立地や設備の充実度は、学生が魅力に感じるポイントの一つです。しかしコロナ禍でのキャンパスにおける学び方などが変化していることを考えると、私も今後はもっと授業の中身や研究のクオリティを上げる方に力を入れていくべきだと感じています。大学間競争の中で生き残るためにも必要なポイントになると思います。

南後  私もコロナ禍は、キャンパスや教室の在り方を考え直す機会になったと思います。「キャンパスの内側」に関しては、対面ならではの創発的な学びの場を作り上げていくうえで、さまざまな授業形態に対応できるフレキシブルな教室が求められるようになりました。また、教室以外の「余白」となる場所が持つ価値も再認識しました。「キャンパスの外側」に関しては、オンラインを駆使し、学びの場を学外により拡張していく環境を整えやすくなりました。私のゼミは社会学やメディア論を軸として都市について研究しているので、もともと学外も学びの場ととらえてきましたが、コロナ禍でそれがさらに加速した印象はあります。たとえば2021年度は、ゼミ生たちが武蔵野美術大学の学生たちとオンラインベースで協働し、『Tokyo Scope 2021』というガイドブックをつくりました。お互いの大学間の距離の制約を超え、本の企画・執筆・編集・校閲・製本・販売をしました。学びの場の拡張を実践したエピソードです。
 

須田 努 教授

須田  学部長として、コロナ禍の1年目はずっと「大学教育とは何か」を考え、2年目は「大学はどう変わっていくのか、その中で情コミはどうあるべきか」思案していました。オンライン授業にはよい面もあり、そこをきちんといかしていきたいので、今後はコロナ禍であろうとなかろうと、対面とオンラインを併用する授業を実施していきます。ほかに講義以外の試みとして取り入れたものは2つあり、1つはバーチャル研究交流祭です。これはゼミの垣根を越えて、和泉と駿河台両方のキャンパスの学生たちが交流できる機会で、大好評だったため、今後も継続して取り組んでいきます。2つ目は情コミの教員たちの研究交流として学際研究ラボという取り組みもあり、こちらもまた継続していくつもりです。あとは、いまよりもっと学生たちが自己表現に打ち込める学部にしていきたいという思いもあります。現在も自由な学びを実現するために必修科目をごく少なく設定し、学問の境なく勉強できるようにしていますが、今後はさらに学生たちが4年間ちゃんと学べたという実感をもてる学部にしていきます。

学びの中で各々が自分の軸を見つけ、 未来へと羽ばたいていく

——学生のみなさんの今後の展望についてお聞かせください。

鈴木
  よりよい教育者になるために、学びを深めていきたいです。あとは、AIが台頭する現代社会においても、とってかわられないような人材でいたいという思いもあります。自分自身はもちろん、いまの中高生もそういう人材になってほしい、教育を通してそのためのサポートがしたいという思いで、日々勉強に打ち込んでいます。

川上  3年次から所属するゼミではフェアトレードについて学びます。また、来年の秋からは半年間フランスに留学しますが、この分野の先進地域であるヨーロッパの現状をしっかり自分の目で見て学びにいかしたいと思っています。4年次では教職課程の実習にも参加しますし、並行して就職活動も行います。いまもそうですが、残りの2年間も明治大学の制度を存分に活用させていただくつもりです。やりたいことがどんどん叶っていくと思うと、いまから楽しみで仕方ありません。

平田  まずは、SPICE(※2)の卒業要件科目をきちんとすべて履修したいです。それから、オープンキャンパスのスタッフや情コミの学部広報プロジェクトのメンバーとしての活動を4年生まで続けていきたいという思いもあります。卒業後の進路については検討中ですが、人に何かを伝えられる仕事に就きたいと考えています。

山室  卒業後は埼玉の温泉の会社に勤めることになっています。この会社に就職を決めたのは、地方創生や地域活性化に力を入れていること、加えて起業を応援してくれる社風も決め手でした。コロナ禍で人と交流できる機会が減り、一人で閉じこもることが増えてしまったとき、自分の居場所について考えるようになりました。ゲストハウスに滞在したり、山に登ってそこで出会った人たちと話したりする中でコミュニケーションの必要性を実感し、コロナ禍といういまの時代を生きる私たちには、心安らげる場所が必要だと思い至りました。いつかは私自身がそういう場所をつくりたいと考えていますが、まずは就職先で勉強させていただき、いずれは仲間と一緒に、誰もが安心できる居場所となれるようなお店や宿を運営したいと考えています。


※2Special Program for Information &Communication in Englishの略。グローバル化時代に即した言語力とコミュニケーション能力を身につけた学生を育成するために,情報コミュニケーション学部が2014 年度に設置した制度。

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