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農学部

【農学研究科農芸化学専攻博士前期課程2年】吉田智尋さんがISAP2021において最優秀学生ポスター発表賞を受賞しました

2021年08月19日
明治大学 農学部事務室

受賞した吉田智尋さん受賞した吉田智尋さん

 2021年5月14日から8月13日に行われたISAP2021(The 7th Conference of the International Society for Applied Phycology/第7回国際応用藻類学会)において大学院農芸化学専攻博士前期2年の吉田智尋さん(環境バイオテクノロジー研究室)が最優秀学生ポスター発表賞を受賞しました。
 この賞は、オンデマンド形式のポスター配信とチャット形式の質疑応答で研究発表を行った演題の中から優秀な発表を表彰したものです。
発表演題は「Cyanidioschyzon merolae を用いた有機酸生産法の開発」です。

 研究内容:地球温暖化や化石燃料枯渇が懸念されている現代社会では、バイオテクノロジーを駆使した新しい技術の創出が求められています。こうした状況で、バイオプラスチック生産に関連した研究が世界的に行われています。バイオプラスチックは色々な原料から作られますが、有機酸の一種である乳酸を原料としたバイオプラスチックは、生分解性を持つことが知られています。
 微細藻類は、発酵中に二酸化炭素を炭素源として様々な物質を生産します。酸性、高温条件で生育する微細藻類Cyanidioschyzon merolae (シアニディオシゾン)は、乳酸生産に適した酵素を持ちます。しかし、この微細藻類の乳酸生産能は明らかにされていませんでした。そこで、私たちは、シアニディオシゾンの乳酸生産能を調査しました。
 シアニディオシゾンは、酸性条件での発酵でL-乳酸、酢酸、コハク酸を生産し、L-乳酸は生産された総有機酸量のうち92%を占めました。酸性条件での発酵には、コンタミネーションが防止され、生産されたL-乳酸が容易に精製されるという産業的な利点があります。さらに、私たちは、酸性条件に比べ、中性条件での発酵で乳酸生産量が増加することを発見しました。これは、中性条件での発酵で、シアニディオシゾンが受ける乳酸ストレスが軽減したためと考えられます。今後、乳酸耐性能を高めた株を作製することにより、産業的に二酸化炭素からL-乳酸生産を行うことができる可能性があります。


第7回国際応用藻類学会HP: https://isap2020-phycology.org/
農芸化学科HP: https://meiji-agrichem.jp/
環境バイオテクノロジー研究室HP:  https://osanaimeiji.wixsite.com/website