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農学部

【農学研究科生命科学専攻】客員研究員 宮田佳奈博士、博士前期課程2年 細谷萌恵さんの論文が日本植物生理学会国際学術誌である「Plant & Cell Physiology」4月号のResearch Highlightsに選ばれました

2023年09月22日
明治大学 農学部事務室

 農学研究科生命科学専攻・環境応答植物学(賀来華江教授)研究室の客員研究員 宮田佳奈博士、博士前期課程2年 細谷萌恵さんの論文が、日本植物生理学会国際学術誌である「Plant & Cell Physiology」4月号のResearch Highlightsに選ばれました。
 本論文は、明治大学農学部生命科学科環境応答植物学研究室のグループと関西学院大学の武田直也教授らのグループの共同研究の成果をまとめたものです。

論文名:OsSYMRK Plays an Essential Role in AM Symbiosis in Rice (Oryza sativa)
(イネのLRR型受容体キナーゼOsSYMRKは菌根菌共生において重要な働きを持つ)

 植物は自然環境下において様々な微生物に囲まれて生きており、その中には植物にとって害を及ぼす病原菌も、植物の成長を助けてくれる共生菌も存在します。植物は、病原菌に対しては防御応答を誘導しますが、一方で共生菌に対しては積極的に体内に招き入れ、植物と微生物が互いに助け合って生きていきます。近年我々の研究グループでは、イネの防御応答に関わる受容体OsCERK1(Oryza sativa Chitin Elicitor Receptor Kinase)が、アーバスキュラー菌根(AM)菌との共生応答にも関わることを見出しました。しかし、植物がOsCERK1を介してどのように病原菌と共生菌を判別するのか、その相反する応答を制御するメカニズムは、未だによく分かっていません。
 本論文では、イネが持つSymbiosis Receptor Kinase, SYMRKと呼ばれる受容体型キナーゼ(OsSYMRK)がAM共生に必須な分子であり、OsCERK1と複合体形成しうることを明らかにしました。これまでに、マメ科植物のSYMRKがAM共生に機能することは示されていましたが、マメ科植物以外に関する報告は世界で初めてとなります。興味深いことに、イネが持つOsSYMRKはマメ科植物が持つSYMRKと比較して細胞外のタンパク質の構造に大幅な違いがあり、この違いはツユクサ類に特異的である事も明らかにしました。本研究成果は、植物が共生菌を見分ける分子機構の解明という基礎研究としての知見に加え、将来的に共生菌の農業利用などにおいて、役に立つことが期待されます。
 詳細は、生命科学科HP(meiji-lifesci.jp/)をご覧ください。

【論文】
academic.oup.com/pcp/article/64/4/378/6998188
【Plant & Cell Physiology Research Highlights】
academic.oup.com/pcp/pages/research-highlights-2023-04