2025年度情報コミュニケーション研究科フォーラム開催報告
総合司会/コーディネーター:中臺希実(研究・知財戦略機構) コーディネーター:須田努(大学院情報コミュニケーション研究科)
情報コミュニケーション研究科
研究科フォーラム開催報告 司会 中臺希実(研究・知財戦略機構)
2025年12月20日(土)、情報コミュニケーション研究科では『江戸と社会文化と吉原』と題して、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で取り上げられている蔦屋重三郎や田沼意次が生きた江戸中期を田沼意次という政治家を理解しつつ、田沼意次・蔦屋重三郎・吉原をキーワードとして、江戸中期の社会文化と民衆の生活を重層的に理解できるフォーラムを、対面方式で開催した。江戸中期の社会の様相を読み解き、当該期の江戸文化の特性をジェンダーの視点を踏まえて解説し、さらに、蔦屋重三郎らが手がけた出版や、歌舞伎・浄瑠璃などの芸能ともつながりが深い吉原と、そこで生きた遊女たちの実態から、客たちの「理想」と遊女たちの「現実」を解説した本講座は、参加者700名を超え、大盛況となった。
| 日時 | 2025年12月20日(土)13:00~15:00 |
|---|---|
| 場所 | 明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモン3階 アカデミーホール |
| 主催 | 明治大学大学院情報コミュニケーション研究科 ※リバティアカデミー特別企画講座と連携して開催 |
| 総合司会 | 中臺希実(研究・知財戦略機構特任准教授) |
| 報告者 | 須田努(明治大学情報コミュニケーション学部教授) |
研究フォーラムでは、3名の報告者による報告が行われた。以下では、報告者それぞれの報告内容を簡単に報告する。
・須田努「田沼時代の政治と社会 3つの問いから」
日本近世史、社会文化史、民衆史を専門とする須田氏より、田沼時代を3つの問い「田沼意次の出現」「蔦屋重三郎の登場」「幕府が世論を重視した理由」をキーワードとして、江戸中期の社会と政治文化を説明頂いた。田沼意次は享保の改革において限界を迎えていた幕府財政や農業政策の限界の解決の求めに応じて登場したが、地盤の弱い田沼「家」の弱点を克服出来ず失脚していったことを論じられた。蔦屋重三郎の登場に関しては、円熟した民間社会の形成、それによる地方豪商の出現を示し、地域格差や経済格差を生じさせながら、娯楽や好事家的こだわりを追求された時代背景、風刺文化の形成から説明した。幕府の世論重視に関しては、伝馬騒動、絹一機、江戸打ちこわしなど、幕府政策の撤回や田沼意次の隠居、謹慎に追い込んだ事例を紹介し、民衆と幕府の緊張関係を具体的に論じられた。さらにその後の幕藩体制が抱えた構造的な問題、江戸の文化として隆興していった文化文政期、民衆の力量の変化を説明された。
・中臺希実「江戸の出版文化と描かれる遊女・遊廓」
本報告では、地域や階層を超え、書物や摺り物を媒介として均質な情報がいきわたった「本の文化時代」としての江戸時代を江戸の出版文化から概説しつつ、出版文化を興隆させた蔦屋重三郎と吉原、出版、寛政の改革、それぞれの関係を説明した。さらに、人形浄瑠璃や歌舞伎などのメディアによって形成された遊女・遊廓像を示しながら、これらの肯定的なイメージは、あくまでも男女の上下関係や社会構造の維持のためのものであり、出版メディアによってコントロールされたものであったことに言及した。


